公共プロジェクトを実施しようとするとき、必ずそれがどのような効果を持っているのか、またどのようなインパクトを社会や環境に与えるのかを客観化することが求められている。費用便益分析は、アメリカの水資源開発分野でいちはやく導入され、国際的に普及し現代にいたっている、最も試されることの多かった公共プロジェクトの評価手法のひとつである。しかし、効率性と公平性、便益評価に関する実際性と理論的整創生のジレンマを、その適用に際してかかえざるをえない。したがって、費用便益分析の有効性を問題にするときは、必ずどのような現実の脈絡の中でそれが用いられているかを問わなければならない。