木材保存
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研究論文
水性木部用塗料の凍結融解に対する抵抗性
伊佐治 信一平林 靖
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2014 年 40 巻 4 号 p. 170-178

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抄録

本研究では,水性木部用塗料の凍結融解に対する抵抗性を調べることを研究の目的とした。その抵抗性を評価するため,市販の水性塗料8種類,油性塗料3種類で塗装されたカラマツ材を用いて,24ヵ月間の屋外暴露試験と,凍結融解試験を実施した。屋外暴露試験は,凍結融解の影響を調べるために冬季に暴露を開始した。また,塗装面の透水性と曲げ試験による塗膜の柔軟性を調べ,凍結融解に対する抵抗性との関連性を考察した。屋外暴露3ヵ月経過後,および凍結融解30サイクル後において,塗膜のはがれ割合が80%以上となる塗料が2種類(水性1種類,油性1種類)存在した。この2種類の塗料は,透水性が高く,塗膜の柔軟性は低い傾向を示した。これらの結果から,水性・油性に関わらず,凍結融解により塗膜が損傷を受ける塗料もあることが示された。また,柔軟性を有する塗料は,凍結融解の影響を受けにくい可能性が示唆された。

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© 2014 公益社団法人 日本木材保存協会
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