木材保存
Online ISSN : 1884-0116
Print ISSN : 0287-9255
ISSN-L : 0287-9255
研究論文
近赤外分光法を用いた木彫像用材の非破壊的な樹種識別-木材標本を用いた分析-
安部 久渡辺 憲石川 敦子能城 修一藤井 智之岩佐 光晴金子 啓明和田 浩
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 41 巻 4 号 p. 162-170

詳細
抄録
日本の木彫像の用材として用いられていることが分かっている10属の木材の代表的な樹種 各1種,計10種(針葉樹5種(ヒノキChamaecyparis obtusa ,スギCryptomeria japonica ,コウヤマキSciadopitys verticillata ,アスナロThujopsis dolabrata ,カヤTorreya nucifera ),広葉樹5種(トチノキAesculus turbinata ,カツラCercidiphyllum japonicum ,クスノキ Cinnamomum camphora ,ヤマザクラPrunus jamasakura ,ケヤキZelkova serrate ))の木材の樹種判別が近赤外分光分析で可能であるかを検討した。その結果,波長領域830~1150nm を用いた主成分分析の,第1主成分と第2主成分のスコアプロットでは,木彫像によく用いられているカヤのプロットが他の樹種のプロットと別れてグループとなった。波長領域1300~2500nmを用いた場合には,針葉樹のプロットと広葉樹のプロットが別れることが確認された。このように,使用する波長領域によって判別可能な樹種が異なることが分かり,近赤外分光分析は非破壊での木彫像の樹種識別に有効であることが示唆された。
著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本木材保存協会
前の記事 次の記事
feedback
Top