2016 年 42 巻 4 号 p. 199-207
実建物を模したミニチュアハウスを用いた野外暴露試験により,住宅建築における基礎周囲や基礎内部におけるシロアリの活動状況について検討した。無処理区では基礎配管部からシロアリが侵入し,PEシートの端部を通過し,土間コンクリートの出隅部に生じたわずかな隙間を通り,基礎入角部に蟻道を構築した。さらに,蟻道は基礎パッキン上を延び,土台,柱,野地板などが食害された。土壌に敷設したPEシートの裏側の蟻土の付着率からシロアリがPEシート下のほぼ全面で活発に活動していることを明らかにした。防蟻処理区では7.9年経過後も基礎内への蟻道の構築は見られなかった。またPEシートの蟻土の付着率も無処理区の半分で,新たな蟻土の付着は見られず,防蟻施工がシロアリ侵入防止に有効であることが示された。