木材保存
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研究論文
混練型WPC の表面劣化における屋外暴露試験と促進耐候性試験の相関
江部 憲一関野 登
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2017 年 43 巻 4 号 p. 182-195

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抄録

木材-プラスチック成形複合材(WPC)に対して促進耐候性試験(キセノンランプ法:JIS K7350-2)を実施し,WPC の表面劣化現象における,屋外暴露試験に対する促進耐候性試験の促進性および相関性を検討した。促進性および相関性は,試料表面のチョーキング量を表面劣化の指標とし,評価した。促進耐候性試験後にそのままチョーキング量を測定すると,その最大値は屋外暴露試験の場合よりも大きな値をとった。一方,促進耐候性試験後に蒸留水でWPC を超音波洗浄し,その後チョーキング量を測定すると,屋外暴露試験におけるチョーキング量の最大値に近い値をとることが明らかとなった。超音波洗浄した場合における,キセノンランプ法の屋外暴露試験法に対する促進倍率は,およそ7~9であった。促進耐候性試験片の表面層を各種機器分析によって解析したところ,木材とポリオレフィンの劣化がともに生じていることが明らかとなり,これは屋外暴露試験片表面層の機器分析結果と比較的類似していた。したがって,キセノンランプ法による促進耐候性試験によって,屋外暴露試験におけるWPC 表面の劣化状態をある程度再現できることが明らかとなった。

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© 2017 公益社団法人 日本木材保存協会
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