抄録
5mm以下の薄物合板を,減圧浸漬及び塗布処理にて防火処理を行った。防火剤としてリン酸・ジジアンジアミド・ホルムアルデヒド初期付加縮合物,及び保存性を付加するためにホウ酸・臭化水素酸を添加した薬剤を用いた。また,処理した合板についてはその防火・防腐・防蟻性能を検討した。
防火性能は,残炎,残じん,炭花長で判定した。処理したものは,いずれも残炎,残じんがなく,炭化長が大きく低下し,無処理より防火性が向上した。薬剤の効果は,防火剤が発泡することにより,減圧浸漬より表面塗布処理のほうが,効果が大きかった。ホウ酸や臭化水素酸添加は,防火性付与の効果は見られなかった。
ホウ酸や臭化水素酸を添加した薬剤で処理した合板は,日本木材保存協会規格第3号に準じて防腐性能を検討した。オオウズラタケ(Tyromyces Palustris)では,無処理合板も腐朽しておらず,防腐性能の比較は不可能ではあるが,カワラタケ(Coriolus uersicolor)に対しては,防火剤のみで処理した場合でも,耐朽性は向上し,さらにホウ酸や臭化水素酸の添加によって防腐効果が増大した。
同様の傾向が,防蟻性能に関しても,認められた。
本研究の結果はリン酸・ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド初期付加縮合物が防火剤として,十分な性能を有するとともに,ホウ酸や臭化水素酸を少量添加すれば防腐防蟻性能をも付加できることを示唆している。