木材保存
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CCA系防腐剤の定着性に関する比較試験(第2報)
CCA処理木材の性能について
蒔田 章太田 博藤本 幸夫
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1978 年 1978 巻 11 号 p. 21-28

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抄録

CCA系防腐剤に関し処理材の性能面から各タイプのCCAの定着性について比較検討した。ここでは各hのタイプのCCAの特徴を定量的に把握するため木粉を用いたが、実際に処理木材を使用する場合には各タイプ間にこれ程大きな差異は認められないものと思おれる。たとえば大寸法の材では材の部位により防腐剤濃度が異なっており、また各成分の定着場所が異なっているため成分の流脱状況も変わってくると考えられる。従ってここで検討した結果は流脱性に関して実用面での指針は与るえが必ずしも絶対的なものとはなりえない。以下に結果を要約する。
1.全タイプのCCA共Crの流脱はほとんど認められなかった。ただA型CCAの場合に養生期間が0日間のもので6価クロムの流脱が認められた。特に塩類で配合した場合め流脱量が多く更に'3日、7日間養生したのちも6価クロムの流脱が認められた。処理木粉からのCrの流脱量はA型C型、B型CCAの順に減少しB型CCAではほとんど認められなかった。また塩類で配合した場合に定着速度が遅くなる傾向が見られた。
2.全タイプのCCA共Cuの流脱量は少量であったが、Cr量が少なくAs量の多いB型CCAではCuの流脱がおこりやすく、逆にCr量の多いA型CCAでは比較的Cuの固着率がよかった。またCCAの濃度が低い程木材中でのCuの固着率が高くなる傾向が見られた。
3.ひ素化合物に関してはそれぞれのタイプのCCAで固着率に大きな差が認められA型、C型、B型CCAの順に固着率は低くなる傾向が見られた。特にB型CCAの場合、流脱率および流脱量共他のタイプのCCAに比べ大きかった。A型CCAでは注入量が少ない程Asの固着性がよく、B型CCAでは注入量が多い程固着性がよい。C型CCAは両者の中間的な傾向を示した。
4.全CCAの流脱に関してはB型CCAでは.Asの流脱と、A型CCAではCrの流脱と密接な
関係があり、また各タイプ問の流脱に関する傾向はAsの場合とよく一致する。

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