木材保存
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外装材料の藻類汚染とその防止(第2報)
屋内培養実験法の評価
大羽 伸和辻本 吉寛
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1996 年 22 巻 4 号 p. 215-222

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抄録
外装材料の汚染を生ずる主要な藻類の一つであるProtococcus viridisについて,実験室的な増殖条件を検討した結果,次のことが明らかになった。
1.屋外の温度,相対湿度および日照を模した培養室において,P.viridisを材料表面に生存させるには,栄養分供給の外に,材料自体の含水率が20数%以上なければならない。しかも,その含水率が一週間程度持続しないと増殖しない。
2.この条件をつくるためには,供試体の一端を浸水して自然に吸水させる方法では不十分であり,供試材全体を100%近い湿度下に置く必要がある。
3.仕上塗材などの試料では,それらに含まれる薬剤などの増殖阻害成分の影響を受けるため,適当な前処理を行う必要がある。適当な前処理と組み合わせれば,藻類培養液と栄養液の散布ならびに高湿度容器中での培養は,薬剤による藻類汚染防止効果を含め,P.viridisによる藻類汚染の屋内評価方法として適用できる可能性がある。
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© 社団法人日本木材保存協会
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