ブラジル産材Bagassa guianensis AUBL.の耐朽性と耐蟻性に対する抽出成分の寄与

抄録

南米に広く分布するBagassa guianensis AUBL.材は,経験的に腐朽や虫害に対する抵抗性が強いことが知られている。本研究ではまず最初に,代表的な木材腐朽菌及びシロアリに対する抵抗性を調べた後,抗菌性や抗蟻性を示す成分の分画を目的とした。
その結果,この材がカワラタケ,オオウズラタケのいずれの腐朽菌に対しても強い耐性を持つこと,またイエシロアリに対するかなり強い抗蟻性を有する成分の存在が示唆された。抗菌性を示す成分はクロロホルム及びメタノール抽出物中に多く存在し,一方,抗蟻性は質的にも量的にもメタノール抽出物中に含まれる成分で最も強力であることが示された。メタノール抽出物をセルロースTLCプレート上で2次元展開し,これを直接シロアリに選択摂食させることにより各成分の忌避性,誘引性を調べた。シロアリが摂食しなかった部分には忌避性の物質が含まれると考えられるが,そこから極性の高い物質が見いだされた。セルロースTLCプレートを用いたこの方法は新規生物活性物質の分離法となりうると考えられる。