木材保存
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長期耐用された地域型木造住宅の耐震診断におけるピロディン閾値
秦 正徳中谷 浩若島 嘉明園田 里見
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2004 年 30 巻 1 号 p. 6-14

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抄録

木造住宅の耐震診断における構造安全性評価は,耐力壁などの構造要素の適切な配置と性能によって行なわれる。一般に,配置は構成見取り図により確認されるが,性能に大きく影響する部材の劣化は目視による評価が困難である。そのため,本研究では,目視に寄らず,劣化測定器であるピロディン,シュミットハンマー,ファコップを用いて,103年間耐用された木造住宅の柱の強度性能劣化を測定し,その閾値を検討した。柱脚の劣化を測定器により数量化した劣化指標と,実大柱の強度試験により測定した残存強度とを比較し,得られた劣化指標の有効性を検討した。さらに,架構の劣化シミュレーションにより架構の剛性低下と劣化指標の関係を明らかにした。これらの検討結果により,木造住宅の構造要素の劣化判定にはピロディンが有効であり,スギを用いた柱の劣化判定の閾値は20mmが合理的であることを示した。

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© 社団法人日本木材保存協会
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