木材学会誌
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一般論文
温度変化に起因する不安定状態下の木材の力学物性とその機構解明(第1報)
急冷処理した膨潤木材の応力緩和挙動
王 悦飯田 生穂古田 裕三石丸 優
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2006 年 52 巻 2 号 p. 83-92

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抄録
温度180℃~30℃範囲から20℃,あるいは180℃~90℃から80℃に急冷した膨潤木材の処理3分後からの応力緩和測定を試み,緩和弾性率Et,相対緩和弾性率Et/E0,流動量(1-Et/E0),コントロール材の流動量に対する急冷処理材の流動量の割合としての相対流動量,すなわち,不安定度を検討した。得られた結果は以下の通りである。
1) 温度180℃~30℃から20℃に急冷した膨潤木材は,不安定状態の発生に4つの特徴的な温度領域を示す。すなわち,温度30℃~40℃から20℃への急冷による相対流動量の増加の小さい領域,40℃~90℃範囲の著しく増加する領域,100℃~140℃範囲の変化がない領域,より以上の温度における再び増加する領域である。
2) 急冷処理材の相対流動量は,コントロール材の最大2.5,ないし3.2倍に達し,極めて大きい。
3) 90℃~180℃範囲の温度から80℃に急冷処理した膨潤木材に不安定状態の発生を認め,木材の場合には,飽水材の転移温度80℃以上の温度においても不安定状態が発生する。
4) 80℃~180℃の各温度から20℃に急冷した膨潤木材の力学的性質は,急冷処理3-4ケ月後には安定状態の膨潤木材のそれとほぼ等しい力学的性質を示した。しかし,安定化に向かう時間は極めて長い期間を要する。
5) 温度20℃~150℃範囲の応力緩和の温度依存性の検討から,熱処理温度の際の見掛けの活性化エネルギーを求め,温度領域で見掛けの活性化エネルギーの異なることを示し,不安定状態の発生原因を考察した。
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© 2006 一般社団法人 日本木材学会
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