木材学会誌
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一般論文
温湿度による含水率変化が伝統的ホゾ-込み栓接合部の接触応力度に及ぼす影響(第2報)
圧縮木材込み栓の変形回復による接合部の応力緩和防止効果の評価
鄭 基浩黄 権煥小松 幸平
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2006 年 52 巻 3 号 p. 153-159

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抄録

第1報1に引き続き,ホゾ-込み栓接合部における接触応力を測定することによって,周期的な相対湿度(RH:Relative Humidity)変化が接合部間の接触応力に及ぼす影響について検討した。さらに,増し打ちによる接触応力の上昇効果を調べると共に,スギ圧縮木材を用いた込み栓が接合部の接触応力の緩和防止に及ぼす影響について評価した。
その結果,スギ圧縮込み栓を挿入した接合部の接触応力は,RH40%からRH80%への変化によってシラカシのそれより高い40Nを示し,RH85%で56Nまで到達した。かつRH40%における接触応力は,シラカシの接合部では初期の14Nが第2周期に13Nへ減少した反面,圧縮木材の場合は初期20Nであった値が第2周期目には27Nへ上昇した。このような結果から圧縮木材の込み栓は,周期的な相対湿度変化により接合部の接触応力緩和の防止効果があることが明らかになった。
一方,シラカシとスギ圧縮木材の拘束状態において,相対湿度を周期的に繰り返し変化させると(RH40%-80%),シラカシは第3周期目から最大膨潤力(σmax)が3.3MPaまで低下したが,圧縮木材は第4周期目まで低下することもなく同じ傾向を示し,4.6MPaまで到達した。これによって圧縮木材がシラカシより応力緩和防止の効果を持つことが明らかになった。

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© 2006 一般社団法人 日本木材学会
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