抄録
発熱性は室空間の火災拡大を左右する燃焼特性であることから,防火材料の性能評価方法がコーンカロリー計による発熱性試験に変更された。現在,不燃性を持つ薬剤処理木材の開発が精力的に進められているが,発熱抑制に適した難燃剤の種類や含量,複数の薬剤の組み合わせ方法など,不明な点も多い。そこで,主要な木材用難燃剤9種類をスギおよびヤチダモ板材に含浸し,入射熱50 kW/m2 における発熱性の変化をコーンカロリー計試験によって検討した。9種類の難燃剤の発熱抑制効果は,効果の高い順に,CH5・N3H3PO4,NH4H2PO4,(NH4)2HPO4>(CH5・N3)2 H3PO4>C2H6N4O・H3PO4>H3BO3,(NH4)2O・5B2O3,Na2B8O13・4H2O>(NH4)2SO4 であった。難燃剤の発熱抑制効果は,加熱初期の発炎燃焼を低減させる防炎と炭化層の赤熱を抑制する防じんに分けて考えることができ,リン系難燃剤は防炎効果が優れていたが,残じんは抑制されにくかった。難燃剤の中には赤熱を促進する効果を持つものがあった。