木材学会誌
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論文特集「温暖化防止に寄与する“木材”」
キノコ廃菌床のボール撹拌型併行複発酵法によるエタノール変換
下田 隆史馬場 洋介西堀 耕三
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2008 年 54 巻 6 号 p. 340-345

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抄録
マイタケ(Grifola frondosa)廃菌床のエタノール変換効率を高めるために,ボール撹拌型併行複発酵法を試みた。ボール撹拌型併行複発酵法とは,廃菌床,セルラーゼ溶液,酵母とジルコニアボールを同一容器に入れ,それを前後左右上下に激しく振とうさせることによって行う方法である。ボール撹拌型併行複発酵装置にて併行複発酵を行ったところ,高いエタノール収率は得られたが,ボール撹拌を行っている間はエタノール発酵が生じず,ボール撹拌による発酵阻害が確認された。この発酵阻害は,静置と撹拌を交互に行なう間欠ボール撹拌で改善され,発酵時間の大幅な短縮ができると共に,ボール添加無しで撹拌した場合と比較して約1.3倍高いエタノール収率が得られた。以上からボール撹拌型併行複発酵はマイタケ廃菌床の酵素糖化によるエタノール変換効率を高めることが分かった。また,本方法はバイオマスの種類に関係なくそれらのエタノール変換に対して有効であることが示唆された。
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© 2008 一般社団法人 日本木材学会
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