抄録
製材残材を製材乾燥の燃料に利用するシナリオを2通り,木質バイオマス発電の燃料に利用するシナリオを2通り,木質ペレットの原料に利用するシナリオを3通りの合計7通りの利用シナリオを設定した上で,文献及び工場における調査データを用いてライフサイクルアセスメント(LCA)を実施し,各シナリオの地球温暖化への影響を評価した。さらに,データ自身の不確実性と結果への影響が共に大きいと思われる係数について感度分析を実施した。その結果,製材残材を木質バイオマス発電の燃料に用いるより,製材乾燥の燃料に用いる方が温室効果ガス排出削減のために効果的であるが,製材残材の燃焼に流動床ボイラーを用いると温室効果ガス排出を増加させる恐れがあると分かった。また,木質ペレットストーブを灯油ストーブやガスストーブの代替で用いると,比較的大きな温室効果ガス排出削減効果が得られることが明らかになった。