2011 年 57 巻 4 号 p. 195-202
この研究では,同一林分で生育したオビスギ15品種材および2他地域スギ品種材について,シロアリ抵抗性を明らかにした。さらに,共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)による抽出成分の観察方法を検討し,オビスギ品種材について抽出成分の組織内分布を明らかにした。品種によってシロアリ抵抗性に違いが認められたものの,オビスギ品種の心材でのシロアリ抵抗性は,他地域スギ品種の心材と同程度であった。辺材であるにもかかわらず,シロアリ抵抗性をもつオビスギ品種が含まれていた。CLSMを用いて励起波長と蛍光波長を選択することによって,2つの抽出成分群の組織内分布を自家蛍光によって観察することができた。抽出成分の組織内分布には品種によって特徴があり,シロアリ抵抗性に優れた品種では,抽出成分B群(励起波長633nm,蛍光波長638-642nm)が仮道管内こうだけでなく,細胞壁中にも多量に存在した。