木材学会誌
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カテゴリーII
腐朽処理した木材の超音波伝播速度及び部分圧縮強度の変化
超音波伝播速度の低下と残存強度との関係
後藤 崇志冨川 康之中山 茂生古野 毅
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2011 年 57 巻 6 号 p. 359-369

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抄録

島根県産スギ,ヒノキ,アカマツ,コナラそれぞれの辺材と心材及びブナの辺材を供試し,オオウズラタケ(Fomitopsis palustris)とカワラタケ(Trametes versicolor)による素材の耐朽性試験(JIS Z 2101(1994))を行った。さらに,柱状試験体にオオウズラタケとカワラタケによる腐朽処理を施した後,超音波伝播速度の測定と部分圧縮試験を行った。腐朽処理した柱状試験体では,オオウズラタケによって腐朽した全ての樹種の辺材とアカマツの心材について3.2~12.9%の質量減少率が認められた。これら腐朽材の厚さ方向での超音波伝播速度は,腐朽処理時に培地と接触していた木口面近傍が最も低下していた。また,腐朽材の部分圧縮強度σe5%及びσe10%(それぞれ辺長の5%及び10%における値)もコントロールに対する比で0.36~0.85となった。腐朽材では超音波伝播速度の低下率とσe5%の残存率との間に統計的に有意な(P<0.01)負の相関関係が認められた。

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© 2011 一般社団法人 日本木材学会
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