2012 年 58 巻 5 号 p. 279-288
台風や大雨などの災害が発生すると海域に大量の流木が発生する。これらの流木は漁業もしくは船舶航行の障害となるため回収されるが,その多くが廃棄物として処分されており有効活用が期待されている。しかし,塩分を含む材を利活用する際,含まれる塩分の影響が懸念される。本研究では,海水を含んだ木材を建築用材として利活用した際の影響,すなわち木材に直接接合した金属材料に発生する腐食を経時的に観察し,その影響を検討した。本研究では海水および純水を注入した心材と辺材に鉄プレートを釘で接合した試験体,およびアルミプレートをネジで接合した試験体を使用し,二段階に設定した雰囲気内で腐食させ,塩分が金属に与える影響を検討した。その結果,金属腐食は純水を注入した材よりも海水を注入した材に多く発生し,金属部材で比較すると鉄プレートが最も腐食し易く,アルミプレートには殆ど腐食が発生しないことが明らかとなった。