2013 年 59 巻 5 号 p. 261-268
果樹剪定枝残さの迅速分解を目指して,ヒイロタケ(Pycnoporus coccineus)NBBC109336株の菌糸体から凍結乾燥の製剤(粉末製剤),液体状の製剤(液体製剤),固形状の製剤(固形製剤)を作製した。このうち,粉末製剤からの菌糸の再生は劣った。液体製剤は,常温より高い35℃において5カ月間保存しても菌糸再生能力を失わず,滅菌条件下で剪定枝の重量および容積密度を対照区より有意に低下させた。固形製剤も,重量および容積密度を有意に低下させ,非滅菌条件下においても高い腐朽力を維持した。また,10~50 mmメッシュの剪定枝粉砕物を5.5~10 mmメッシュ程度に細粉砕すれば,さらに重量の低下は増大した。腐朽力の点から見ると,果樹剪定枝残さの迅速分解に適した菌糸体形態は固形製剤であることが明らかになった。