木材学会誌
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カテゴリーII
保存処理ラミナを積層接着した大断面集成材の防耐火性能
原田 寿郎 上川 大輔宮武 敦桃原 郁夫宮林 正幸今村 祐嗣
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2015 年 61 巻 2 号 p. 82-87

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抄録

集成材の日本農林規格(JAS)には保存処理に関する規定がない。このため,保存処理された集成材はJAS材として取り扱うことができず,準耐火構造において燃えしろ設計を適用できない。保存処理された集成材を通常の構造用集成材と同等に扱うためには,薬剤を注入する際に行われるインサイジング加工や耐久性向上のために注入される薬剤が集成材の防耐火性能に影響しないことを明らかにする必要がある。インサイジング加工を施し,保存薬剤(第四級アンモニウム化合物系,アゾール・ネオニコチノイド化合物系)を注入したラミナを積層した大断面集成材梁を作製して,45分準耐火構造相当の載荷加熱試験を行ったところ,集成材は破壊せず,炭化深さも35mm以下で,燃えしろ設計による45分準耐火構造の性能を有することが明らかになった。また,減圧加圧はく離試験による接着層の耐久性評価で使用環境Aに使用可能な性能を有することが明らかとなった。

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© 2015 一般社団法人 日本木材学会
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