天然秋田スギの突然変異の1つアオヤジロの胸高直径,樹幹の応力波伝播速度を精英樹や耐雪性スギと比較した。アオヤジロの応力波伝播速度は耐雪性スギと同様に精英樹より速く,胸高直径との間には負の相関がみられた。これらから幹のヤング率が高く雪害抵抗性に優れることと加齢に伴う材の剛性低下が示唆された。成長錐コアを用いてアオヤジロ心材外部の含水率,粗灰分および心材最外部の揮発性成分を調べ,精英樹のそれと比較した。各成分の間に有意な差はみられなかったが,アオヤジロの粗灰分がやや多い傾向にあった。揮発性成分はcubebolやδ-cadineneがアオヤジロでやや多い傾向にあった。cubebolは酒を腐らせる乳酸菌の増殖を阻害するcubenol,epicubenolやδ-cadineneに変化しうる。よって,cubebolとδ-cadineneの含量はアオヤジロ材を評価する上で有用な指標になるものと思われた。