木材学会誌
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カテゴリーI
県産材を利用した県外住宅に対する助成施策の評価
河村 奏瑛森井 拓哉渡邊 哲井上 雅文
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2020 年 66 巻 4 号 p. 195-201

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抄録

世界貿易機関の協定により国が直接的に国産製品を優遇することはできず,国産材の利用拡大に関する施策は県産材等として地方行政が担っている。各県は主要な木材の需要先である住宅建築に助成しており,秋田,岐阜,奈良県は県外の住宅施主へも助成している。県産材の県外利用促進は販路拡大の観点から重要であるが,県予算の他県への支払いには県民や県議会の理解を得る必要があり,その方策として当該制度による県内への便益を定量的に示すことが有効である。そこで,上記3県の助成制度によって生じた木材需要に対する経済波及効果を推計した。生産誘発倍率はそれぞれ1.44,1.47,1.37,費用対効果は4.88,8.85,6.70,事業予算に対する税収効果の比は0.129,0.345,0.255となった。また,奈良県が実施した施主の意識調査から助成制度により県産材需要を喚起できることが示される等,施策の有効性が確認された。

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© 2020 一般社団法人 日本木材学会
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