木材学会誌
Online ISSN : 1880-7577
Print ISSN : 0021-4795
ISSN-L : 0021-4795
カテゴリーI
木造およびRC造非住宅建築の環境経済評価(第2報)
国産材利用および国内加工に着目した経済波及効果の比較分析
河村 奏瑛渡邊 哲森井 拓哉井上 雅文
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 67 巻 1 号 p. 1-6

詳細
抄録

実在する鉄筋コンクリート造の建築 (RC造) と同等の規模と機能で設計した木造建築 (木造) の建築費用を最終需要として,産業連関分析により経済波及効果を算出,比較した。最終需要額はRC造で116.0百万円,木造で110.7百万円となり,木造が建築費用の点で優位であった。経済成長の効率性である粗付加価値誘発倍率は,RC造で0.783,木造で0.722となり,RC造が優位であった。ここで,木材の国産材率を100%にすることによって,粗付加価値誘発倍率は0.792となり,国産材利用の有効性が認められた。また,輸入材の国内加工について検討を行ったところ,合板・集成材部門において,国産材利用に匹敵する経済波及効果が認められた。集成材の使用部位では,梁桁など,強度の観点から国産材に置き換えることが困難である部材も想定されるため,経済成長の観点からは,国内加工を促進することの有効性が示唆された。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本木材学会
次の記事
feedback
Top