2021 年 67 巻 1 号 p. 7-13
建築における木材利用の優位性を環境と経済の両側面から検証するため,温室効果ガス排出量および経済波及効果を産業連関法によって推計し,環境効率指標に基づく考察を行った。鉄筋コンクリート造建築の粗付加価値誘発額は133.2百万円,温室効果ガス排出量は1039.2t-CO2eqとなり,同等の規模と機能を有する木造建築のそれらは,輸入材を使用した場合で97.2百万円,487.7t-CO2eq,国産材を使用した場合で122.0百万円,540.5t-CO2eqとなった。これらの比である環境効率指標は,鉄筋コンクリート造建築で0.128百万円/t-CO2eq,輸入材を用いた木造建築で0.199百万円/t-CO2eq,国産材を使用した木造建築で0.226百万円/t-CO2eqとなった。鉄筋コンクリート造建築に対して木造建築が優位であり,国産材利用を促進することでさらに環境効率が高まることが示された。