2025 年 71 巻 3 号 p. 93-100
プレカット加工業は,建築用木材流通の重要な結節点となっており,木材の需要拡大においても重要な役割を担う産業である。しかし,既存の産業連関表ではその他の木製品部門に含まれるため,独立した産業部門として分析することができない。本研究では,プレカット加工企業に対する郵送調査,ヒアリングおよび既存の統計資料を基に,全国産業連関表にプレカット材部門および新たなその他の木製品部門(新木製品部門)を新設することによって,木材利用の分析に適した拡張産業連関表を開発した。プレカット材部門の投入の大部分は木材であり,粗付加価値が生産額に占める割合は34.4%であった。一方,新木製品部門の投入は木材に偏らず多様であり,粗付加価値が生産額に占める割合は59.1%であった。両部門の産業構造の差が数量的に確認された。