福祉社会学研究
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「福祉社会学」研究と日米センター助成プログラム
高野 佳男
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2006 年 2006 巻 3 号 p. 132-147

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抄録

国際交流基金日米センターは,日米関係をより緊密にし,世界的視野に基づいて日米両国が国際的責任を分かち合いa協力して世界へ貢献することを目指し,「知的交流分野」「地域・草の根交流分野」の2分野で事業を行っている0特に研究機関を対象とした研究助成事業である「知的交流プログラム」においては,(1)国際経済(2)安全保障(3)持続可能な開発(4)シビル・ソサエティ(5)医療と高齢化,の5つの優先的事業分野を設け,積極的に助成を行っている.中でも「シビル・ソサエティ」と「医療と高齢化」は「福祉社会学」研究とも関わりが深いが,全体の申請の動向から見ると残念ながら「福祉社会学」分野の申請は少ない.「福祉社会学」に関わる医療高齢化,少子化,ジェンダー,といったテーマはそれぞれ重要だが単独で存在するテーマではない.またこうした分野は,かって各国の「内政」の問題として捉えられてきたが,近年のグローバリゼーションの進展とともに,多くの問題が一国にとどまらず地球規模・世界規模の問題となり,また政治,経済等の他分野の問題とも密接に関わることが認識されるようになってきている.こうした変化を背景として,世界的視野を持ち,多様で多角的な「福祉社会学」研究の発展のために,日米センターの助成プログラムが積極的に活用され,ネットワークが広がり,世界が直面する課題の貢献へとつながってゆくことを期待したい.

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