抄録
本論は、複層沪過池を対象に、洗浄終了直後の沪過初期濁度を低減化するための洗浄方法と条
件について検討したものである。その結果、空気洗浄後の水逆洗速度を3段階に低下させる減速洗浄が、
沪過初期濁度を常時0.1NTU以下に低減化できる洗浄方法であることを示した。また、減速洗浄は捨水
工程が省け、従来法の定速洗浄に比べ排水量を大幅に削減できることが明らかとなった。さらに、減速
洗浄においては、第3段階目の最も低速な水逆洗が重要であり、沪層の安定化や沪材衝突による新たな
濁質の剥離を抑制し、沪材間隙に残存する濁質を排出する効果があることが認められた。