水道協会雑誌
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「論文」
錯形成反応の最適化による非イオン界面活性剤検査法の測定精度の改善
岩間 紀知中村 弘揮李 富生
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2020 年 89 巻 2 号 p. 2-12

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抄録

水道水中の非イオン界面活性剤(NIS)検査法(告示法)について、錯形成反応の最適化による測定精度の改善を試みた。NIS のコバルト錯体化については、0.1 mol/L チオシアン酸コバルト溶液(pH 7.6)を用いることで、告示法と比べて錯生成量を2倍以上に高める効果が得られた。4(- 2- ピリジルアゾ)- レゾルシノール(PAR)によるコバルトの逆抽出については、PAR 溶液(PAR 濃度100 mg/L、pH 6)を用い、200 rpm で40分間振とうすることで、告示法と比べて錯生成量を2.5倍以上に高める効果が得られた。錯形成反応の最適化により、必要な試料量を告示法と比べて半減(500 mL から250 mL に)することが可能になった。本法を用いて水道水添加回収試験を行った結果、検量線では真度と併行精度について、また、添加試料では真度、併行精度および室内精度について、厚生労働省の水道水質検査における妥当性評価ガイドラインの評価目標を満たした。

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© 2020 本論文著者
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