抄録
水道用水供給事業を行う神奈川県内広域水道企業団(以下、「企業団」という。)とその構成団体である
神奈川県、横浜市、川崎市及び横須賀市(以下、「構成団体」という。)は、水道事業の更なる広域化の取組みと
して、広域水質管理センター(以下、「センター」という。)を共同で設立し、企業団と構成団体(以下、「5事業
体」という。)が個別に実施していた水源水質事故の対応や水源調査等、水源水質に関する業務をセンターに一元
化した。水源水質事故対応では、事故情報が迅速かつ正確に5事業体間で共有されるように、行政機関等への確
実な情報提供の要請を行うとともに、その情報を共有化するためのシステムを整備した。水源監視では、事業活
動によって水源に流入するクリプトスポリジウムや有機フッ素化合物などの流入リスクを低減するため、流域の
行政機関(環境・農政)等をはじめ、消防、道路公団、畜産業者等への情報提供の要請や協力・連携体制を構築し、
改善への取組みを進めてきた。こうした官民や行政分野の枠にとらわれない多角的な協力・連携は、将来の水道
事業を取り巻く厳しい環境における、様々な課題解決のモデルケースの一つになると考える。