水道協会雑誌
Online ISSN : 2435-8673
Print ISSN : 0371-0785
「報文」
人口減少社会における管網の水輸送能力の維持と経済性の両立の研究
上野 光弘
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 91 巻 8 号 p. 5-16

詳細
抄録

人口減少社会では、消火能力の確保と残留塩素濃度の確保がトレードオフの関係であるように、管網再 構築において従来型手法の踏襲だけでは対応が難しいものがあり、新たな考えを加え適応させていく必要がある。 本論文が導き出すのは、人口減少社会においてのトレードオフの関係も含まれる複数の要求事項である課題を複 合して達成できる具体的な手法である。管路の特徴として経済的、能力的なスケールメリットがあるが、実際の 管網の口径割合と組み合わせて検討し、この特徴を最大限に発揮させることで管網の水輸送能力(バックアップ 能力の向上、残留塩素の確保、直結給水区域の拡大、消火用水の確保)と経済性(総費用の抑制)を両立できる ものである。これは幹線の水輸送能力を維持または強化し、その能力によって末端側を減径する事で成り立つも のである。本論文では理論証明のほか、実管網のデータを用いたシミュレーションによって効果を検証した。また、 複数の要求事項の達成を目的とした水理解析は、より多くの作業時間が必要となることから、解析技術の効率化 を併せて研究し成果を得た。

著者関連情報
© 2022 本論文著者
feedback
Top