水道協会雑誌
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「事例報告」
給水過程における残留塩素の消失と亜硝酸態窒素の生成 -地下水をシャワー水に給水するホテルの事例-
吉川 循江堀切 佳代鈴木 敦郎小野 香緒里新井 朝子
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2023 年 92 巻 1 号 p. 17-26

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抄録

横浜市内のホテルにおいてNH4-N を含む地下水を揚水してシャワー水・浴槽水に給水する過程で、給水 栓から残留塩素が検出されない事例があった。当初一因として不連続点塩素処理されておらず、原水のNH4-N か ら結合塩素とNO2-N が生成して、注入した次亜塩素酸Na を消費していると考えられた。NO2-N は浄水・給水の 過程で地下水原水に含まれるNH4-N から生成したと推定された。施設の給水設備を変更することなく、次亜塩素 酸Na の注入量を調節してNO2-N の生成を抑制し、地下水に含まれるNH4-N を利用して結合残留塩素を生成させ ることにより、安定して結合残留塩素が検出されるように改善した当該施設の取組みを報告する。最終的に結合 塩素の分解およびNO2-N の生成は25℃で活性を示す硝化細菌などの関与が示唆された。平成30年度全国会議(水 道研究発表会)pp784-785において一部発表した。

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© 2023 本論文著者
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