山階鳥類学雑誌
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ミゾゴイの雛の翼開帳行動は分身の術か?
川名 国男
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2009 年 41 巻 1 号 p. 1-2

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抄録
ミゾゴイGorsachius goisagi の雛は,親鳥が給餌のため巣の近くに戻ると,翼角を頭の高さに上げ,翼を開いて小刻みに動かし餌をねだった(図1)。翼角の部分が頭のように見え,開いた翼がもう1羽の雛がいるかのようであった。左右を交互に開く場合と,両翼を開く場合があり,1羽の雛が2羽ないし3羽いるように見えた。また,この動作とともに「グウァー グウァー」と激しい声を発した。親鳥は,この行動をとる雛に優先的に給餌を行う傾向があった。この行動は,給餌を受ける際に必ずしも行われるものではなかったが,雛が空腹時に親鳥の関心を引きながら給餌を優先的に受ける効果と,親鳥の採餌活動を活発にする効果があるのではないかと考えられる。なお,この行動は3ヵ所の営巣場所で確認され,29日齢(巣立ちまでは37日間)から巣立ち5日後の巣外給餌でも確認された。
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© 2009 公益財団法人 山階鳥類研究所
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