山階鳥類研究所研究報告
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北太平洋西部及び日本近海におけるオオシロハラミズナギドリの季節的分布並びに移動について
田中 裕稲葉 不二夫
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1981 年 13 巻 3 号 p. 207-214

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抄録

1.この報告は,東京大学海洋研究所研究船白鳳丸(3200トン)による研究航海(1974•1975•1980年)で得られた海鳥の目視観察資料に基ずき,北太平洋西部及び日本近海におけるオオシロハラミズナギドリの季節的分布と移動についてまとめたものである。
2.オオシロハラミズナギドリの北太平洋西部への渡来時期については,5•6月には同海域では確認されず,7月下旬になって初めて北緯30度以北の同海域で観察された。8月にはマリアナ諸島東方海域に多数分布し,9•10•11月まで同海域に広く分布していた。
3.7月下旬~11月下旬までの北太平洋西部海域での観察数は70回,143羽であった。これは1日平均4時間の観察に基ずくもので,実際にはより多数の本種がこの海域に渡来しているものと推察される。
4.オオシロハラミズナギドリ分布域の表層水温は20.7°~31.4°Cと幅広く,27°Cで分布密度が高く,次いで30°Cで密度が高くなっている。
5.オオシロハラミズナギドリの北太平洋西部海域における分布は,北緯35度以南,表層水温20°C以上の海域であった。8月には,北緯20度付近,表層水温29.9°~314°Cの海域に分布密度が高く,熱帯•亜熱帯産のオナガミズナギドリ,セグロアジサシ,シロアジサシ,クロアジサシと行動をともにして,活発な採餌行動が観察された。

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