山階鳥類研究所研究報告
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フィリピン,ルソン島のフィリピン大学Laguna Land Grantの鳥相
Juan Carlos T. Gonzalez
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1995 年 27 巻 1 号 p. 12-29

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抄録

ルソン島南部のフィリピン大学Laguna Land Grantの鳥類相は,41科,101種の鳥類により構成されている。4種類の異なる生息環境に設定されたトランセクトに沿ってセンサスを行い,全部で78種の鳥を記録した。環境別には,成熟した2次林で44種,人為的攪乱が進んだ森林で35種,森林性の樹木が所々に残された草地で38種,2次林と耕作地帯が入り交じった地域で35種が観察された。各トランセクトにおいて,種多様度および個体数を算出した。また,各種について,採食ギルド,定住性,保護の現状を議論した。種の多様性および固有性が甚しく減少している理由は,主に商業目的並びに地域住民による大規模な樹木の伐採活動がもたらした生息環境の悪化によるものと考えられた。広域性の種が,伐採の進んだ地域に定着できるのに引き替え,厳密に森林性の鳥類は本来の植生以外の環境に対する許容度が低いからである。
環境保全のための方策としては,ルソン島の低地林,例えばPaete-Pakil-Kalayaanのような場所を,世界的に最も緊急を要する固有種保全地域(Endemic Bird Areas)の一つとして登録することが考えられる。これによって,関係諸機関によるそれらの地域の環境保全の努力が高まり,長期に渡って種の多様性を確実に保存できるだろう。

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