1970 年 6 巻 1-2 号 p. 195-205
1968年4月2日から8日にわたり,東京水産大学練習船海鷹丸は東支那海中央部の北緯28°40'-30°15',東経125°-128°に囲まれた海域で行動中,鳥類の観察をおこなった。観察された鳥種はオオミズナギドリ,アカアシミズナギドリ,トウゾクカモメ,アカエリヒレアシシギおよびカモメ類5種の海鳥とツバメ,ハクセキレイ,キセキレイ,ミソサザイ,シロハラの5種の陸鳥であった。
観察は日の出から日没の間,毎30分に見られる鳥種とその数を数え,目視観察野帖に記録した。総観察度数は150回であった。
オオミズナギドリとアカエリヒレアシシギについて水塊に対する分布を考察し,前者は黒潮系温水域に,後者はむしろ黄海冷水域の外縁に多いとした。ツバメと天候,雲量との関連を求めたが明瞭な結果は得られず,ツバメの分布は黒潮流域にむしろ多く,渡りも黒潮流域に沿って行われるようである。