1975 年 7 巻 6 号 p. 697-711
1.富士山麓須走でアオジ,アカハラ,ウグイス,ビンズイ,モズ,ホオジロの営巣実態を調査し,従来の報告と合わせて,繁殖時期,一腹卵数,第2繁殖の有無及び繁殖成功率と死亡要因などを検討した。
2.アオジ,ウグイス,ビンズイ,モズ,ホオジロでは季節の進行に従い一腹卵数が減少し,アカハラ,クロツグミでは繁殖期途中の6月後半から7月前半にかけて一腹卵数のピークがあった。
3.第2繁殖はアオジ,アカハラ,ホオジロで認められた。
4.一腹卵数の季節変化の原因は,雛を育てる時期の餌量の季節変化に適応した結果と思われた。
5.一般に春先暖かくて早く繁殖を開始した年ほど,平均一腹卵数が多くなる傾向を示すが,この原因としてそうした年ほど育雛期における餌量が多いためではないかと推察した。