山階鳥類研究所研究報告
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7 巻 , 6 号
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  • 黒田 長久
    1975 年 7 巻 6 号 p. 569-602
    発行日: 1975/12/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    In 1969, a pair of Jungle Crow Corvus macrorhynchos was kept under observation from later incubation period (April 13, five days before hatching) at Akasaka, Tokyo, where I lived in its breeding territory, which was about 45.83 ha, 1000m east to west (200m to west, 750m to east from nest) and 700m north to south (500m to north, 200m to south), thus oval in shape, with the nest situated near the round end. The northern (to the direction of winter roost) and eastern (toward summer roost) territorial boundaries are deliminated by big buildings of TBS television and Parliament respectively.
    The territory contains apartments, buildings of various sizes, small shops and private houses, with wooded shrine of Sanno on the hill of north-east border, wooded lawn slope of Prime Minister's official residence at eastern hill, and on the central hill, two big gingko trees, one of which having crow's nest, stand high with a patch of trees. Thus, there are some greens on central and surrounding hills, between which two main roads, one with highway, run crossing at Tameike (Fig. 1).
    Main buildings and other objects frequently used by crows, for resting, guarding, food storing and eating places, are numbered on territory map, with distance lines of 50m mesh (Fig. 3) and circles (Fig. 2).
    Observations were made on the roof of my home about 40m apart from the nesting gingko tree and I could see all directions of surrounding hills, except some blind area at south western part.
    Observation time, usually more than 2 hours for each observation, was selected according to its purpose of following the male's movements in its morning food search commenced as soon as he returns from flock roost to his territory before sunrise, female's attendance rate to nest and her daytime activity in relation to her mate or intruding other crows, feeding rates to chicks by male and female, food storing and hiding, roosting places, sexual and family life, as well as vocal communication.
    In the present paper (part 1; to be continued), observation data from April 13 to 30 are given with some tables and figures.
    1.The incbation is engaged by female only, but male may visits nest with 20-30 minutes intervals, calls her for confirmation or inviting for food, and if the male doesn't return long time from food search, the female may leave the nest in search of him, in some cases advertising herself by circling flight.
    2. Although sitting on nest in the foliage, the female is very keen to outside event or for vocal communication of the male and as soon as she perceives, or notices by male's voice, other crows trespass flying over beyond territorial boundary, the female at once takes off from the nest directly flying, with attack calls, to the intruders to chase them up from below. The male is, however, usually less aggressive, or even indifferent, being occupied by his job of food search for the day (But, when he is less occupied he may lead the defense chase of intruders).
    3. Finished the daytime activity of food search toward evening, the male rests on high top or antenna of building more or less 100m apart from the nest, and the female leaves the nest to pass some 15 minutes with the male preening or billing each other, and together return to nest site (to gingko tree adjacent to nesting gingko). Thus ended their activity of the day, the male leaves (with soft 'ka' of roosting signal vocal) to common flock roost about 1km from the nest site and the female gets back to the nest for her night incubation or brooding of early chicks (from 31st day after hatching the female also flew off to roost).
    4. Before sunrise, the male comes back to his territory in the dark of twilight, which the female on nest at once notices by his approaching call notes, and answering to him she flies out to adjacent tree to wait his arrival.
  • 中村 登流
    1975 年 7 巻 6 号 p. 603-636
    発行日: 1975/12/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    この研究はカラ類に見られる同所性近縁種間の行動圏の構造と分布を比較し,その生態的分離を考察したものである。
    1.調査地は中部日本の山岳地帯,海抜約1000mの地域で,人工的な混合林である。
    2.調査地では5種(エナガ,シジュウカラ,ヒガラ,コガラ,ヤマガラ)が共存性で,この内の前種が,高い密度をもち,コガラは,低く,ヤマガラは,たった1ペアしかいない。
    3.エナガとParusとの社会的構造は違っている。エナガは群れテリトリイを持つ群れユニットである。それは冬にグループディスプレイによって強調される。繁殖期にはペアユニットに変換される。一方,Parusはペアユニットであり,そのテリトリアリテイは繁殖期に,ソング活動とたたかい行動により強調される。冬には,そのテリトリアリテイは弱まりペアユニットは行動圏を拡張し,他のユニットと結びついて,群れになる傾向を示す。
    4.冬をとおして,Parusのペアユニットは保たれ,暖い日には著しくなる。ペアユニットがもっとも強いのはコガラであり,群れる傾向はシジュウカラとヒガラに表れる。しかし,Parus属は,群れるものと,ペアを保つものは,中間型によってグレードをなしている。それは密度によっても変異する。そして,エナガとの間に中間型はない。両属の差は大きい。
    5.種間関係の生態的分離は冬と繁殖期で異る相を示している。冬には林内の垂直的な層にあらわれ,繁殖期には林内の水平的モザイックにあらわれる。各種の行動圏の重複は著しい,しかし,採食場所は分れている。ペアユニットは資源を区分するのに重要なファクターである。しかし,このユニットは種間的に重複している。その混群は種間的に,採食場所を分けるのに有利であろう。
    6.種間テリトリアリテイはない。コガラとヤマガラはシジュウカラとヒガラの分布域重複の縁の状態を示しているのに,その間に種間テリトリーは認められない。カラ類の幅広い重複分布は種間テリトリーを経過することなく,混群の中での相互の忌避によって生ずるのであろう。Parusの社会的模倣性が,エナガの群れユニットと接触を保たせるだろう。その接触部の近くで,忌避的に,生態的分離を生じさせる,と考えられる。
  • 小笠原 〓
    1975 年 7 巻 6 号 p. 637-651
    発行日: 1975/12/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1) カラ類(Paridae)混合群を形成している各種群及び混群内各種の採餌習性を比較し,更に混群内各種の種間関係(interaction)を明らかにするため,東北大学植物園において1963年10月から1963年1月および1963年10月から1964年1月の2冬期間にわたって調査を行なった。
    2) 各種群の採餌習性を加藤他(1952)の百分率信頼限界(90%)で比較検討した結果,エナガ(Aegithalos caudatus trivirgatus)種群では,樹皮(Bark)から餌をとる場合が多く,シジュウカラ(Parus major minor)種群ではBarkおよびGroundで採餌する習性が多かった。ヒガラ(Parus atar insulalis)種群ではFoliageで,キクイタダキ(Regulus regulus)種群ではFoliageで餌をとる場合が多い。すなわち,各種とも独自の採餌習性をもっているといえる。
    3) 各種群及びエナガのいる(Mf+),又はいない混群(Mf-)においては,百分率信頼幅(60%)による比較の結果,エナガとシジュウカラの各種群の採餌習性には明らかな変化は認められなかったが,ヒガラ,コガラ,キクイタダキの3種では,各採餌習性を,Sf,Mf+およびMf-で詳細に比較すると,採餌習性の割合の一部で明らかな変化が認められた。これは,これらの種が他種の攻撃の影響を受けるためと考えられる。
    4) 各種間の餌の奪い合い及び逃避行動から判断して,各種の攻撃性についていえば,シジュウカラが最も攻撃的であり,次いでヒガラで,その他,エナガ,コガラ,キクイタダキ等がこれに続くものと考えられるが,下位の種の間での順位は明らかでない。
    5) 上に述べた混群内における各種の攻撃性の順位は混群内各種群の移動順序(Ogasawara,1970b)とはその趣きを異にしていると思われる。
  • 小笠原 〓
    1975 年 7 巻 6 号 p. 652-664
    発行日: 1975/12/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.調査は1962年以来,東北大学植物園において,混群構成種の中でも,顕著な群行動を示し,採餌移動中先行種としての役割をもっているエナガ(Aegithalos caudatus trivirgatus)の繁殖期の特異な生活状態を明らかにする目的で行われた。
    2.エナガの営巣は早いものでは2月末に開始し,4月末以降は営巣しない。産卵期は明らかではないが,抱卵期は4月上旬から5月上旬と思われ,特に抱卵期は平均気温が約10°C以上になる時期に一致している。さらに育雛期は5月末には終り,全てが巣立っていく。
    3.他の時期に比べ,抱卵期にエナガの巣が破壊されることが多く,巣立ちに成功したのは21巣中わずか7巣(34.3%)のみであった。
    4.21巣中7巣はモミの木(Adies firma)に,5巣がアカマツ(Pinus densiflora)に,4巣がスギ(Cryptomeria Japonica)につくられ他の5巣が広葉樹につくられた。
    5.エナガの巣は30m以上もある木やわずか1m以下の木にもつくられ,樹梢から地上30cm位の所まで種々の高さにつくられていた。さらに巣立ちに成功した巣は地上10m以下の高さにつくられ,しかも10m以上の高さにつくられた巣は全て破壊されていた。
    6.巣の地上からの高さと斜面の陵線から巣の位置との関連を検討したところ,陵線近くに比較的多く営巣する傾向がみられる。
    7.エナガのつがいの営巣期における行動から巣材運搬範囲は巣を中心にした一斜面に限られ,採餌行動範囲の一部を占めている。巣材運搬範囲は平均して,約20000m2採餌行動範囲は平均して約50000m2の面積を占め,後者は前者の約2.55倍となっている。これは巣材運搬範囲はつがいが巣材をひんぱんに,斜面を上下し運ばねばならないため,一斜面に限られ,一方採餌行動範囲はその必要もなく,比較的長い時間にわたって,比較的広い範囲を占めるのによると考えられる。
    8.エナガはその営巣場所をお互いに,適当に離れた好適な所に選択し,その結果,その地域を斜面単位に有効に利用しているものと考えられる。
    9.エナガはその巣が均等分布をなすことや,他のつがいやヒガラ等を巣の近くから追い払うこと等から判断し,テリトリーの存在を認めることができるが,テリトリアルな行動の不明確な種と思われる。
  • 小笠原 〓
    1975 年 7 巻 6 号 p. 665-680
    発行日: 1975/12/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.調査は,東北大学植物園において,エナガ群の動態を明らかにする目的で,1961年7月から1962年1月に56回,1962年4月から1963年4月に124回のセンサス及び1960年から1964年の間に一般観察によって行った。
    2.エナガ(Aegithalos caudatus trivirgatus)の年周期活動を記載し,シジュウカラ(Parus major minor)のそれと比較した。
    3.エナガは,その群生活を中心にした,季節的にきわめて特徴的かつ興味ある生活様式をもっている。シジュカラの年周期活動はエナガのそれと多少異なり,繁殖期はエナガが一般的に早いことが認められた。
    4.エナガの繁殖個体数は秋季-冬季群の個体数とほぼ等しい。1962年にマークした16羽のヒナのうち,1羽(♂)は1963年,1964年にそのヒナが巣立ちした巣の近くに営巣した。さらに,この個体は1962年,1963年及び1964年にそれぞれ夏季群および秋季-冬季群にも認められた。
    5.エナガの冬季群の各個体は翌春,その採餌行動範囲内に留まり,その地域に分散営巣するものと思われる。このように秋季群及びその群行動はエナガの地域的繁殖個体群の大きさを決定するのに,重要な役割をしているように思われ,もしそうであるとしたら,すでに植物園で繁殖のためにすみついているのであり,植物園はエナガにとっては繁殖のための地域であると考えられる。
  • 西出 隆
    1975 年 7 巻 6 号 p. 681-696
    発行日: 1975/12/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.秋田県八郎潟干拓地で繁殖するオオセッカ(Megalurus pryeri)の分布と環境および繁殖期の生活を明らかにするため1973年と1974年,6月から9月にかけて調査を行った。
    2.現在八郎潟干拓地の造成耕地は2,340haあり,ヨシの生育範囲は1973年では未利用地の62.6%,1974年では11.7%と急激に減少している。
    3.オオセッカは八郎潟干拓地では干拓地の西半分に集中して分布している。その数は雄のみで,1973年には29羽,1974年53羽であった。1974年にヨシの群生地が急激に減少したにもかかわらず,逆にオオセッカはその分布範囲を広げ,密度も増加している。
    4.オオセッカの生息地は,ヨシの群落のなかで,前年の枯ヨシやススキが混在し,下草にはクサヨシ,チガヤ,イ,サンカクイなどが自生する場所である。
    最も密度の高かったのは,干拓地の中央部西寄り約80haの未耕地で,両年とも全観察雄の半数がこの地で認められた。繁殖期の生活についての調査は,主にこの高密度地帯で行った。
    5.発見された巣は,1973年に6巣,1974年に14巣で,巣は1)ヨシのなか(55%),2)ススキの株のなか(25%),3)下草のなか(20%)にあり,その高さは,地上から平均10.5cmの位置につくる傾向がみられた。
    6.巣は,1)巣底より巣材を積みあげた鉢型のタイプ(タイプ1型),2)ウグイスに類似した楕円形の巣(タイプ2型),3)巣の下部には枯草,上部には生草の材料を使った球形の巣(タイプ3型)に類別され,巣はいずれも粗雑な造りである。
    7.産卵は1日1卵産下され,1腹の産卵数は5~6個(平均5.3個),卵の大きさは,16.6×12.4mmであった。
    8.抱卵は最終卵産下後から行われ,抱卵日数は平均11.3日で,孵化率は98.1%と高かった。
    9.育雛には雄も雌も参加するが,給餌回数からみた雌雄の仕事率は,雄23.2%,雌76.8%で,雌の給餌が多く,一定のリズムがあるが,雄は不安定である。
    10.雛1羽当りの給餌回数は平均で,雄0.44回/時,雌が1.54回/時,合計1.98回/時で,雛1羽に対して,1時間当り2回弱の給餌がなされたことになる。巣内育雛日数は平均12.1日である。
    11.雛の排糞回数は給餌回数に対して,49.7%で,1時間当りに親が糞を処理する回数は,おおよそ2回に1回の割りで行われることになる。
    12.餌の種類はメイガ類成虫,コオロギ類仔虫,ササキリ類仔虫,クモ類の順で,そのうちメイガ類成虫が全給餌量の64.3%で最も多かった。
  • 由井 正敏
    1975 年 7 巻 6 号 p. 697-711
    発行日: 1975/12/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.富士山麓須走でアオジ,アカハラ,ウグイス,ビンズイ,モズ,ホオジロの営巣実態を調査し,従来の報告と合わせて,繁殖時期,一腹卵数,第2繁殖の有無及び繁殖成功率と死亡要因などを検討した。
    2.アオジ,ウグイス,ビンズイ,モズ,ホオジロでは季節の進行に従い一腹卵数が減少し,アカハラ,クロツグミでは繁殖期途中の6月後半から7月前半にかけて一腹卵数のピークがあった。
    3.第2繁殖はアオジ,アカハラ,ホオジロで認められた。
    4.一腹卵数の季節変化の原因は,雛を育てる時期の餌量の季節変化に適応した結果と思われた。
    5.一般に春先暖かくて早く繁殖を開始した年ほど,平均一腹卵数が多くなる傾向を示すが,この原因としてそうした年ほど育雛期における餌量が多いためではないかと推察した。
  • 黒田 長久
    1975 年 7 巻 6 号 p. Plate25-Plate31
    発行日: 1975/12/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
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