山階鳥類研究所研究報告
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北海道におけるモズ類(Laniidae)の分布について
1.水平分布の概要
小川 巖
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1977 年 9 巻 1 号 p. 44-55

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抄録

北海道に夏鳥として普通に渡来するモズとアカモズ,および冬鳥として少数が渡来するオオモズの大地域的な分布を,筆者自身の実地調査,アンケート•聞き取り調査,および文献調査などによって調べ,北海道を国土地理院発行の5万分の1の地図大に区切った区画に記入して分布図を作成した。また,札幌周辺とオホーツク海沿岸の小清水町における中地域的な分布調査を行ない,それらからモズとアカモズ,それにオオモズの分布傾向について以下のような知見をえた。
1.モズ,アカモズ共に,北海道全域に広く分布していることが確認された。しかし,モズの方がより広い範囲にわたって分布し,かつ相対的な生息密度もより高い地域が多かった。また,道東,道北地方では2種の生息数は,多くの場合非常に少なかった。
2.オオモズも同様に全道的に記録された。その期間は6月と9月を除く10ヶ月間におよんだ。また,オホーツク沿岸地方では,1~2月前後に記録数が比較的多く,オオモズの渡来,渡去との関連が想定された。
3.札幌周辺と小清水町における分布調査によって,モズは低平地から山麓•山間部にかけて広く分布しているのに対して,アカモズは低平地に分布している傾向が認められた。
4.これまで夏鳥とされていたモズが,冬季間にも記録されていることから,ごく少数が越冬する可能性が示唆された。

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