化学教育
Online ISSN : 2432-6542
カニの甲羅 : バイオマスの有効素材への変身
平野 茂博
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1986 年 34 巻 4 号 p. 290-293

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抄録

松葉ガニ(ズワイガニの雄(おす))の肉は, 山陰の冬の味覚の王者で実に美味しい。この甲羅は, つい先日まで不用不益のゴミとして捨てられていた。今や, この甲羅が汚泥処理用凝集剤から体内消化性手術用縫合糸に至るハイテクノロジーやバイオテクノロジー用素材となりつつある。このカニ甲羅の主成分はキチンという多糖(生体高分子)で, ゲル, フィルム, 繊維などに加工しやすい。この高分子の特性を生かしたいろいろな研究が, 医療, 農業, 工業など広い分野で急ピッチで進んでいる。

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© 1986 公益社団法人日本化学会
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