化学教育
Online ISSN : 2432-6542
恐龍の絶滅と地球の過去, 現在, 未来
松井 孝典
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1986 年 34 巻 4 号 p. 288-289

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抄録

白亜紀と第3紀の境界は, 1億6000万年に及ぶ恐龍の地球支配に終止符がうたれた時代として名高い。絶対年代でいうと, 今から約6500万年前のことである。この白亜紀と第3紀の境界(以後C-T境界と略す)を成す層は, 厚さにして1cm前後の薄い粘土層(海底堆積物から成る)から成るが, そのなかに最近, イリジウム(Ir, 白金属元素のひとつ)の異常濃集が発見された。このIrの異常濃集は巨大いん石の衝突によって生じたと考えられ, いん石衝突と恐龍の絶滅との因果関係が, より実証的に議論されるようになっている。巨大いん石の衝突によって, 地球環境がどのように変化するかという研究は, 巨大いん石の衝突を核爆発に置き換えて, その影響を調べた『核の冬』と題する論文によって, 世の注目を集め, 科学者の間にホットな論争を巻き起こしている。本稿ではこれらの話題についての背景と現状を簡単に紹介し, 合わせて地球の過去, 現在, 未来を考察してみることにする。

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© 1986 公益社団法人日本化学会
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