2013 年 51 巻 11 号 p. 754-762
現在日本では睡眠に不満をもつ人の割合は20%以上にもなる.私たちは内因性睡眠物質であるプロスタグランジンD2 やアデノシンによる睡眠誘発の情報伝達系をさまざまな遺伝子操作動物を用いて解析し,睡眠覚醒調節の全体像を明らかにしてきた.さらに,実験動物の脳波測定システムを応用して,睡眠覚醒調節作用をもつ天然素材の探索を進め,自宅での睡眠測定が可能な人間用の携帯型脳波計を開発した.これらの研究は睡眠の科学的な理解を深め,医療費の削減や国民の公衆衛生に大きく貢献する.