化学と生物
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巻頭言
今日の話題
【解説】
  • 老化しない高分子デキストリンと配合しやすく使いやすい低分子食物繊維の開発
    安田 亜希子
    2023 年 61 巻 6 号 p. 263-268
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    我々は,独自に保有する糖質関連の微生物酵素を,澱粉に作用させることで,マルトース,トレハロースなどの低分子の糖質だけでなく,食物繊維素材であるイソマルトデキストリンなど比較的高分子の糖質についても数多く実用化してきた(1, 2).微生物酵素は,澱粉を低分子化するだけでなく,グルコース同士の結合様式を変換でき,酵素の組合せ方次第で多種多様な分子サイズと結合様式をもつ糖質に変換できる.糖質の粘度や甘味,老化耐性などの性質は分子サイズに,消化性など生体での利用はグルコース同士の結合様式に依存することが多い.本稿では,独自酵素を駆使して有用糖質を創出し,市場の課題解決に挑戦した成果について紹介する.

  • 組織形成からバイオエレクトロニクスへの応用を目指して
    松﨑 賢寿, 吉川 洋史
    2023 年 61 巻 6 号 p. 269-273
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    細胞接着は,多細胞が関わる組織形成の開始点となる重要なプロセスの一つである(1).その機構の解明を目指して,生物的な相互作用を担うタンパク質が多数同定され,その種類や量が蛍光顕微鏡で精密計測されてきた.しかし,蛍光観察では可視化できない物理的な相互作用(図1a,静電相互作用や疎水性相互作用など)が生きた細胞組織の形成や機能にどう影響するかは未解明な点が多い.そこで本稿では,生物的・物理的な接着相互作用を包括的に可視化できる反射干渉法(原理:第1章)を用いて,細胞組織の形態形成(第2章)とバイオハイブリッドセンサー(第3章)に応用した例を紹介する.

  • 遺伝子クローニングと立体構造解析から明らかになった特徴について
    石川 英司, 田中 俊一
    2023 年 61 巻 6 号 p. 274-280
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    ガラクトオリゴ糖は,ヒトをはじめとする哺乳動物の乳汁中に見いだされる.工業的には,高濃度の乳糖(ガラクトースとグルコースがβ-1,4結合した2糖)に加水分解酵素を作用させ,糖転移反応によって2~6糖のガラクトオリゴ糖を生成させる(図1).このガラクトオリゴ糖は,ヒトの消化酵素では消化されないが,ビフィズス菌などの腸内細菌には利用されるヒト難消化性の糖質である.したがって,経口摂取することにより,腸内有用菌であるビフィズス菌の増殖を活発にすることが知られている(1, 2).昨今,このガラクトオリゴ糖はプレバイオティクスとして認知されると共に需要が増しており,その効率的生産法の開発が望まれている(3).現在ガラクトオリゴ糖は,微生物由来のβ-ガラクトシダーゼの糖転移活性を利用して,工業生産されているが,数多くのβ-ガラクトシダーゼや類似の加水分解酵素が細菌(4, 5)や真菌(6~8)から単離精製されたものの,その多くは収量が低く,工業的なガラクトオリゴ糖生産には数種類しか用いられていない.プレバイオティクスの需要が拡大している状況下では,工業的なガラクトオリゴ糖生産に好適な独自酵素の開発が望まれている(9, 10).本稿は,ガラクトオリゴ糖の生産に好適な担子菌酵母のGlycoside Hydrolase Family 1(GH1)に属するβ-glycosidaseを取り上げ,遺伝子クローニングと立体構造解析に関する最新の知見を紹介する.併せて,当該酵素の社会実装についても紹介し,今後の研究の方向性を考察する.

  • 標的遺伝子を狙い通りに書き換えることができる技術
    横井 彩子
    2023 年 61 巻 6 号 p. 281-287
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    2020年のノーベル化学賞を受賞した人工制限酵素Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats/CRISPR- associated Proteins 9(CRISPR/Cas9)の開発により,ゲノム編集技術の開発は大きく進展し,医療,産業,農業など幅広い分野に革命をもたらしている.一方,相同組換えを介したジーンターゲッティング(GT)技術は1980年代には動物細胞で確立され(1),その後すぐに植物細胞への適用が様々なグループにおいて試みられてきた.多様な植物種へのGT技術の適用は未だチャレンジングではあるが,本稿ではこれまでに植物において開発されてきたGT技術の状況とその展望について紹介する.

  • 全シス置換シクロプロパンの合成戦略
    塚野 千尋
    2023 年 61 巻 6 号 p. 288-295
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    歪んだ構造を含む天然物の合成は,歪んだ構造の構築に加えて,その構造を壊さずに最終生成物まで誘導する必要があり,難しい.また,歪んだ不安定構造であるためか,天然から単離される量も限られ,生物活性に関連してさらに研究を進めるためには合成による試料供給が必要となってくる.シクロプロパンは代表的な歪みのある3員環であるが,多様な置換基を持つことでさらに歪みが増した場合,一体どのように合成するのがいいだろうか?

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