2020 年 58 巻 5 号 p. 302-308
1936年,血管透過性を調節する物質として柑橘類からビタミンP(ヘスペレチンやルチンなどのフラボノイド配糖体)がSzent–Györgyiによって見いだされた(1).その後ビタミンからは除外されたが,1990年代に報告されたFrench Paradox(2)やZutphen Elderly Study(3)などの疫学研究によって,フラボノイド摂取量が多いほど冠動脈性心疾患による死亡率が低いことが示され,再び機能性成分として注目されるようになった.当初は抗酸化作用が研究の中心であったが,生体利用性研究の進展とともに現在ではそのほかの機能性も明らかになってきた.本稿では食事由来フラボノイドの生体利用性と代謝による構造変化について,機能性発現との関連を交えながら,特に消化管における動態に着目して解説する.