2016 年 72 巻 2 号 p. I_1453-I_1458
干潟における複数の生態系サービスの経済価値を簡便に評価するための表明選好法として,比較順位法を考案し,東京湾内の4つの干潟における生物多様性と教育の経済価値の評価を試行した.東京湾流域圏の住民を対象にインターネット調査を行い,市場価格法等で経済価値が算定されている比較対象サービスの理想的な状態と比較し,評価対象サービスの経済価値の順位付けを行った.得られた順位と前後の順位の比較対象サービスの経済価値から,評価対象サービスの理想的な状態における経済価値を推定した.さらに,海洋健全度の考え方を応用し生物学・社会学的な指標から定量化された各干潟の評価対象サービスの得点率を,推定した経済価値に乗ずることで,各干潟における評価対象サービスの経済価値を算定した.