土木学会論文集B2(海岸工学)
Online ISSN : 1883-8944
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論文
  • 阪口 詩乃, 中山 恵介, Thuy Thi Thu VU, 駒井 克昭, Peter NIELSEN
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_1-I_6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
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     本研究では,強非線形強分散波動方程式をソリトン波の場に適用し,理論解との比較を行うことでその精度が高いことを確認した.さらに,従来はzのべき乗で展開されていた速度ポテンシャルを,zμのべき乗で展開することによって強非線形強分散波動方程式を改良した.分散関係を比較した結果,改良した強非線形強分散波動方程式ではμ=2,べき乗の展開項数N=3の場合に分散関係式とほぼ一致することが確認でき,従来モデルよりも高い再現性を持つことが確認された.また,改良した強非線形強分散波動方程式をbumpを有する波動場に適用した結果,波高及び水平・鉛直流速について室内実験の結果を良く再現することができた.
  • 樋口 直人, 平山 克也, 長沼 淳也
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_7-I_12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     大型船舶の航行により生じる航跡波が小型船舶の荷役稼働率の低下や操船性・安全性に悪影響を及ぼすことがあり,新しい観点の港内静穏度解析手法を開発していく必要がある.そこで本研究では,直線及び屈曲航路に対する航跡波の平面造波実験を実施し,平面2次元場に拡張した航跡波造波モデルによる実験結果の再現性を検討した.この結果,水深フルード数Fh=0.8程度のとき放物線近似及びLewis近似はともに,直線航路及び屈曲航路内側で計測された波形,最大波高を比較的良く再現した.また,Lewis近似は同じ補正係数を用いて水深フルード数による最大波高の変化も比較的良く再現した.一方,両モデルとも屈曲航路外側で計測された最大波高を過大に算定する傾向がみられた.旋回時の航跡波に対する造波モデルの高度化が今後の課題である.
  • 相田 康洋, 平山 克也
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_13-I_18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     外洋に面した離島港湾の岸壁では,沖波が浅海変形・非線形化しながら直接作用するため,係留船舶の動揺量・係留力の算定に際してはこれらを考慮する必要がある.そこで本研究では,CADMAS-SURF/3Dの機能を拡張する形で,変形後の多方向不規則波の造波と任意形状の係留船舶の動揺解析を実現するとともに,NOWT-PARIとのカップリング計算の実施により計算領域を大幅に縮小して計算時間・容量の削減を図る,三次元流体場での係留船舶動揺解析手法を構築した.本手法では,NOWT-PARIで造波された多方向不規則波に対し水平流速の鉛直分布を仮定してCADMAS-SURF/3Dに与えるとともに,ポーラスモデルで表現した係留船舶の挙動を流体と連成して解くことにより,非線形波浪場における6自由度の動揺量を算定する.
  • 松葉 義直, 下園 武範, 田島 芳満
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_19-I_24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     沿岸砂州が形成されている平塚海岸で観測された長周期波発達過程のより詳細な理解を目的として,数値解析を用いた分析を行った.数値モデルとしては砕波判定に水面圧力勾配,砕波減衰にTVDによる数値粘性を適用した1次元強非線形ブシネスクモデルを開発し,実験・現地の観測結果と比較し良好な結果を得た.また,現地再現結果からは沿岸砂州頂部に腹節構造を持つ部分重複波の複雑な構造を確認した.さらに,長周期成分のエネルギー遷移過程の分析により,観測から示唆された段階的な長周期波発達が確認され,沿岸砂州付近では高次の非線形干渉が無視できないことを示唆する結果を得た.
  • 越智 直人, 柿沼 太郎, 中山 恵介
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_25-I_30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
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     深水域と浅水域を含む領域を伝播する内部孤立波を対象として,非線形波動方程式系を基礎方程式系とする数値モデルを適用した数値解析を行なった.下に凸であるBO解の内部孤立波が大陸斜面に到達して陸棚上を伝播するとき,陸棚上において静水時の界面位置がcritical levelより高い位置にある場合,下に凸のKdV解が,一方,陸棚上において静水時の界面位置がcritical levelより低い位置にある場合,上に凸のKdV解が,分裂を経て生じた.内部波が,深水域から浅水域に伝播した後,再び深水域を伝播する際に,陸棚上において界面がcritical levelより高い位置にある場合は,内部波が浅水域を進行し続ける場合よりも,界面位置が低くなった.
  • 中西 佑太郎, 中山 恵介, 中川 康之, 茂木 博匡, 田多 一史, Mathew HIPSEY, 桑江 朝比呂
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_31-I_36
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
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     海草場ではアマモ等の成長に伴いCO2が吸収されつつ,同時に地上部や地下部の海草生物体の更新により,生物体の一部が海底に炭素ストックとして貯留される.そのため,CO2の吸収源となり得る海草場等のブルーカーボン生態系が注目されている.しかし,海草場内において流れの影響を考慮しつつCO2の移流拡散を高精度に検討することは困難であった.海草を効率的に利用して炭素を貯留するためには,そのような複雑な波・流れと海草の相互干渉を考慮した解析を行う必要がある.本研究では,アマモが波・流れ場に与える影響を明らかにすることを目的とした.一様流場におけるせん断力を求めることで,アマモによる流れ場への影響が大きいことが分かった.波動場で波の進行方向と一致する進行流と逆方向の補償流が周期的に発生し,その間隔はアマモのモード数に関連することが分かった.
  • 柿木 哲哉, 辻本 剛三, 石原 莉輝, 細山田 得三, 酒井 大樹, 宇野 宏司
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_37-I_42
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
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     貯水池や湾などの小規模な水域に,斜面崩壊に伴う土砂の突入や,集中豪雨などにより生じた土石流が流入することで波が生じ,周辺地域に被害を及ぼすことがある.従来から山体崩壊に伴う大規模な津波の研究例は多いが,溜池のように小規模の水域に土石流などが突入して生じる波の発生や伝搬を扱った研究例はあまり見られない.本研究では斜面崩壊や溜池の決壊等に伴う土砂や土石流が小規模の水域に突入して生じる波の水理学的特性を明らかにすることを目的とし,水理模型実験と数値解析を行った.その結果,実験的には土砂の流下形態や流下速度が空間的には一様ではないことなどを示し,数値解析では浅水方程式を基にした多層モデルに土砂のモデルを提案し,土砂と水部の界面抵抗やレイノルズ応力を考慮することなどで実験結果を近似することがわかった.
  • 五十里 洋行, 後藤 仁志, 小林 祐司, 小西 晃大
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_43-I_48
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
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     土運船から土砂を水中投下する際には,濁りの拡散による海洋環境の悪化が問題となるので,より効率的な投下が要求される.そのためには事前予測としてシミュレーションの実施が有効であるが,既往の予測モデルにおいては,投下時の土運船の開閉扉の挙動や堆積土砂の変形挙動等については簡略化して扱われることが多く,必ずしも精緻なモデル化がなされているとは言い難い.そこで,本研究では,粒子法に基づく数値モデルを構築し,開閉扉の挙動や土砂変形を考慮した計算を実施する.本モデルでは,土砂の変形を弾塑性体の構成則に基づいて解くが,浮遊砂については,別途移流拡散方程式を用いて輸送を解く.投下水深の異なる3ケースの計算を行ったところ,堆積形状は既往の水理実験結果と良好に一致し,水深によって堆積モードが異なる傾向が再現された.
  • Badarch AYURZANA, 細山田 得三
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_49-I_54
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
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     格子ボルツマン法に自由水面変動を処理するアルゴリズムと埋め込み境界法を付加することによって断面2次元の数値波動水槽を構築した.また分布関数に条件を与えて浸透流を表現するアルゴリズムを付加し,防波堤に作用する流体力を総合的に評価する手法とした.波力の算定には計算から出力される圧力分布の積分値も求めて埋め込み境界法と比較した.計算の対象は透過性を有するマウンド上の混成防波堤とし,計算結果の妥当性を合田公式によって確認した.構造物に作用する典型的な砕波波形である双峰型の時系列が計算によって再現されることが示され,ケーソンの前面および底面に作用する波圧分布についても合田公式と定性的に一致することを確認した.本計算法の海洋構造物に作用する波圧算定への適用性が示された.
  • 三戸部 佑太, 落合 潤, 田中 仁, Nguyen Xuan TINH, 会田 俊介
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_55-I_60
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     砕波段波下における流れ場および底面境界層の発達過程について調査を行うため,PTVによる流速分布計測を用いた水理実験を実施した.ゲート急開により段波を発生させ,その下の流速分布について初期水深を変えた4つの条件で各5回の試行計測を実施した.発生させた段波波形の再現性は良好である一方で,PTVにより取得した流速分布では特に水面付近の流速に試行ごとの明瞭な差が確認された.砕波段波に伴い水面付近で生じる高流速は乱れに伴う3次元的な構造を持つ.この水面付近の高流速を持つ水塊から静水面下の水に運動量及び乱れが輸送され,水深全体に影響する.取得した流速の鉛直分布から推定した摩擦速度は段波到達直後にピークを持ち,定常抵抗則では記述できない変動特性を持つことが分かった.
  • 門脇 壮健, 渡部 靖憲
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_61-I_66
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究は,液滴の着水を伴う気液二相流計算にphase-fieldモデルを導入し,液滴着水現象に伴う気液間の界面更新機構について議論するものである.液滴落下に伴い気相に発生する組織渦に加え,液滴着水後生成されたキャビティの振動に誘発された渦輪及び鉛直交互交代渦対から構成される3次元渦構造が気液界面を介した両相に形成される.液滴界面はこれら渦中に捕捉され,渦の自己誘導による水中へ輸送される質量輸送メカニズム及び界面更新過程の特徴が明らかになった.これらの結果は,渦構造は界面境界層内の移流拡散過程を支配し,気液間の熱,気体,水分等の輸送を促進することを示す.
  • 猿渡 亜由未, 坂川 諒太, 大塚 淳一, 馬場 康之, 久保 輝広, 水谷 英朗, 二宮 順一, 山田 朋人, 内山 雄介, 森 信人, ...
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_67-I_72
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     和歌山県田辺湾の田辺中島高潮観測塔において行った海上集中観測結果を基に,フェッチ制限下における強風イベント時の白波被覆率,海洋性エアロゾル濃度,大気-海洋間熱フラックスについて調査した.フェッチ制限下の未飽和な風波砕波に対しては白波被覆率もエアロゾル生成量もフェッチ制限の無い場合と比べ小さく,外洋の観測結果に基き構築されたモデルでは評価が過大となる事が確認された.砕波泡沫の面積分布及び砕波による表面更新に伴う海表面温度を記述する統計モデルを提案した.更に白波砕波に伴う表層水の混合が強風イベント時の大気-海洋熱輸送量に対し有意に影響を与え得る事を示した.
  • 山下 賢人, 渡部 靖憲
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_73-I_78
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究は,風速,波形勾配,波動流速をパラメータとした波浪上に形成される乱流境界層の発達に伴う波面に作用する抵抗を数値的に求め,現行モデルとの比較を通して,これらパラメータの寄与及び海面抵抗変化の原因を議論するものである.風速に応じて波浪形状に依存した独特な渦構造が海面抵抗の増減を規定すること,波形勾配,波動流速の違いに依っても流れ場,海面抵抗に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった.数値的に求めた抵抗と現行モデルによる抵抗には有意な差異が存在し,その原因について議論されている.
  • 田中 良明, 田島 芳満
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_79-I_84
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,共振を含んだリーフ上における平面的な水位変動機構を明らかにし,浸水高との関係を示すことを目的とした.矩形状のリーフ地形を再現して平面水槽実験を行い,画像計測技術を活用することによってリーフ上の平面的な水位変動を捉えた.得られた水深,汀線変化のデータに対してスペクトル解析を行い,リーフ上にて岸沖方向のみでなく,沿岸方向,更には両者が混在する平面的な共振モードの存在を確認した.また,実験における遡上高は共振を含むリーフ上で増幅された長周期変動に大きく影響を受けることが示され,リーフ上の水位変動と共に,水位変動に伴うリーフ端での流れも入射波の砕波減衰に影響を及ぼすことにより,遡上高を増大させることが示唆された.
  • 三宅 崇智, 宇野 喜之, 小野 信幸, 雪丸 敏昭, 久保 敏哉, 長山 昭夫, 浅野 敏之
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_85-I_90
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     指宿港海岸では,突堤,離岸堤,護岸,養浜を組み合わせた面的防護工法による整備が進められている.これらの施設を整備するにあたって,地域の重要な観光資源である「天然砂むし温泉」を含む温泉地下水環境の保全が重要な課題となっている.本研究では,養浜が温泉地下水に及ぼす影響を評価することを念頭に,潮汐に伴う温泉地下水の変動特性を把握することを目的として地下水位と温度に関する4季の連続観測を行った.観測結果は,平面的かつ断面的に整理し,経時的な変化を把握した.その結果,上げ潮の時間帯では,温泉水の下に海水が浸透し,砂浜内部の温泉水が陸側に押し上げられる様子を確認した.下げ潮の時間帯では,温泉水が砂浜内部の表層を流下する様子を確認した.
  • 大谷 靖郎, 宇多 高明, 大崎 康弘, 永沼 慎吾, 三波 俊郎, 大木 康弘, 市村 康
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_91-I_96
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     ビデオ画像やwebカメラ画像を用いて砕波帯内の水深推定やバー・トラフなどの地形変化を調べるLippmann・Halmanの方法を用いて,鹿島灘に面した鉾田海岸の29号ヘッドランド(HL)周辺で沿岸流・離岸流の発生状況に関する現地観測を行った.2017年10月23日には台風21号が襲来し,鉾田海岸でもH1/3 = 5.4 m, T1/3 = 15.4 sの高波浪が作用したが,その後波浪は次第に弱まった.この波浪静穏期には,沿岸方向に伸びた深みが沖へと向きを変えてrip channelへと発達した後,バーを切断して沖まで伸びる状況が実測された.また,29号HLの横堤端部では,ほぼ常時離岸流が発生していることも明らかになった.
  • 宇多 高明, 大谷 靖郎, 永沼 慎吾, 大崎 康弘, 大木 康弘, 中村 明日人
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_97-I_102
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     2017年11月29,30日,鹿島灘に面した鉾田海岸において離岸流の現地観測を行った.海岸ほぼ中央部背後にある小高い砂丘上から海岸の斜め写真を撮影するとともに,高度150 mからUAV(ドローン)による写真撮影を行い,さらに小型GPSを取り付けたフロートの移動状況をUAVからの連続撮影により調べた.現地観測によるデータ取得後,エネルギー平衡方程式法により波浪場を求めて海浜流計算を行い,観測結果と比較した.この結果,29-30号HL間,および29号HL近傍での離岸流の観測結果が計算結果とうまく対応することが明らかになった.
  • 藤木 峻, 森 信人, 川口 浩二, 末廣 文一
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_103-I_108
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究では方向スペクトルから波浪場の情報を抽出する手法としてMixtureによるPartitioning手法を提案し,現在広く使われているWITSと比較を行った.Mixtureを用いることで波浪スペクトルの力学的構造を考慮した処理に加えて,ピーク数選択の自動化が可能となる.精度検証のために多峰性方向スペクトルを対象とした数値実験を行い,平面的なPartitioningを行うWITSよりも立体的なPartitioningを行うMixtureの精度が高いことを確認した.推算・観測方向スペクトルのPartitioningに適用した場合,Mixtureでは台風下の風波とうねりの重畳を明瞭に検出可能であった一方で,WITSでは不自然な多数のピークを検出する結果となり合理的な解釈は困難であった.
  • 田村 仁
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_109-I_114
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究では海洋波の成長率に着目することで風波とうねりをスペクトル空間内で分離し,それに基づいて全波浪エネルギーに対するうねりエネルギーの比としてSwell Indexを導入する.本研究で提案したメトリックを用いることで,うねり性波浪を定量的に判別し計量化することが可能となる.富山湾におけるうねり性波浪を対象とした現地観測データの解析を行った結果,Swell Indexを用いることで風波とうねりを明確に分離することができ,波浪特性の違いに関して物理的な解釈が可能となった.さらにwaveray方程式に基づくうねりの伝搬過程に関する考察からは,沖合でのうねりの入射波周期に依存して富山では波向きが異なることを示し,これらの結果が現地観測結果とも整合的であることを示した.
  • 齋藤 隆介, 橋本 典明, 藤木 峻, 川口 浩二, 三井 正雄
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_115-I_120
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     水位変動と10層の水粒子速度30成分の計31成分を用い,ベイズ法(BDM),非負拘束条件最小二乗法を用いたベイズ法(BDM-NNLS),拡張最大エントロピー原理法(EMEP)および拡張最尤法(EMLM)を用いて方向スペクトル解析した.先ずBDMとBDM-NNLSで方向スペクトルを推定し,BDMとBDM-NNLSの推定値の差や安定性を検討し,BDMの数値計算法について再考した.次に水位変動と各1層分の水粒子速度3成分の計4成分を用いて方向スペクトルを推定し,水粒子速度の観測水深の違いによる推定値の差を検討した.さらに上層から下層に向けて水粒子速度成分を増やして推定した方向スペクトルの差について検討した.その結果,観測水深やデータ数に違いがあってもピーク波向は変動しないが,方向集中度はかなり変動することが判明し,更なる検討の必要性が示唆された.
  • 北野 利一, 植田 祐輝, 兼崎 康太, Wenpeng ZHAO
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_121-I_126
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     風水害外力の重複は,被害を助長し,また,災害からの復旧などにも大きな影響を与える.沿岸域の防災・減災計画を策定する際には,このような沿岸域外力の同時生起頻度を考慮に入れる必要がある.それにも関わらず,2変量GP分布を用いた応用例は,現時点で皆無である.その原因の1つは,対象とする極値を抽出する際に必要となる閾値の選定法が十分に検討されていないためと考える.閾値を超える極値に対して一定値をとる特性量を用いて,1変量の閾値選定を行なうのが一般的である.これに対し,2変量の閾値選定に用いられる従来法は,やや単純なアプローチで,必要条件にすぎない.本研究では,2変量ポアソン分布との関連より,閾値を超える生起頻度の相関係数を用いて検討する.ドイツ北部の風速データを用いた解析例で,その有効性を示した.
  • 志村 智也, 森 信人
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_127-I_132
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     JRA-55再解析値にもとづき,既に整備した全球長期波浪推算に加え, 日本沿岸の高解像度波浪推算を実施した.観測値との比較により精度検証を行い,良好な計算精度があることがわかった.波浪推算結果を用いて平均方向スペクトルによる波候表現について検討し,その有用性を示した.月平均スペクトルの変動特性について,主成分分析で得られる第1モードを解析した.変動特性は,日本海側で,日本海北西部の風速変動に対応した波浪の発達度合い,西日本太平洋側で,東から伝播するうねりの変動,東日本太平洋側で,アリューシャン列島付近から伝播するうねりの変動により特徴づけられる.夏季に関しては,台風により発生するうねりの変動による影響が大きい.平均方向スペクトルは大気場との関係づけが容易であり,波候を表現する上で有効である.
  • 森 信人, 志村 智也, 岸本 理紗子
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_133-I_138
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     月平均波高の変動は,港湾の稼働率や海浜の長期的な変形などに多くの影響を与える.波浪の長期変動要因は,季節変動の他にエルニーニョ等の大気・海洋の大規模な年々変動の影響も考えられるが(例えば Barnard et al., 2015),観測データの少なさからその定量的な評価は行われていない.本研究では,局所的な大気データに加えて,広域の大気場情報として海面更正気圧の時空間変動の主成分を説明変数とした統計的波浪モデルを用い,日本周辺を対象に,高解像度波浪推算,大気再解析値および観測データを系統的に解析し,我が国沿岸の月平均波高の時空間的な変動特性について定量的に評価した.
  • 鶴留 悠暉, 柿沼 太郎, 種田 哲也
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_139-I_144
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     底面の変動により津波を生成させる装置を有する水槽を用いて,空間的に不連続に底面が一定速度で隆起,または,沈降する場合の,鉛直断面内における津波の生成過程を対象とした水理実験を行なった.本水槽は,外水槽と内水槽の2重構造を有する.そして,水面変動に関して,これらの水理実験による結果と,非線形浅水モデルを適用した数値解析による結果を比較した.各地点における最大水位の静水位からの高さである津波高さは,底面の隆起量,隆起速度,または,隆起幅が大きいほど,そして,静水深が浅いほど,大きくなった.また,特に,静水深が浅く,隆起速度が大きい場合に,水面変動の水理実験結果は,比較的大きな速度の水面上昇と,短周期の振動を示したが,非線形浅水モデルによる数値解析結果では,こうした速度や振動が再現されなかった.
  • 藤井 直樹, 松山 昌史, 森 勇人
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_145-I_150
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     海底および陸上の地すべりによって発生する津波は,断層運動による津波と比べて発生頻度が低く,その実態はあまり明らかになっていない.海底地すべり津波および陸上地すべり津波については実験および解析的検討が実施されているものの,断層運動による津波と比べて研究事例が少ない.そこで本研究では,海底および陸上地すべりを模擬した粒状体,固体模型による平面水槽を用いた水理模型実験を実施し,生成される津波水位とその伝播過程について検討・整理した.その結果,地すべり津波計算モデルの妥当性検証に有用なデータが取得できた.
  • 鶴田 修己, Abbas KHAYYER, 後藤 仁志, 鈴木 高二朗
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_151-I_156
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     近年,海岸・港湾工学分野では設計要求の高度化が著しく,移動境界条件を含む複雑な非定常現象を対象とする精度良い予測ツールの開発が急がれている.巨大津波による防波堤背後の越流洗掘の推定などはそうした検討課題の典型例であり,近年開発された高機能型粒子法数値波動水槽(PARISPHERE)においても,洗掘過程を再現するための複数モデルが導入されている.本研究では,PARISPHEREに組み込まれている侵食モデルに対して浮遊砂の堆積モデルを新たに導入し,洗掘部背後の地盤形成過程を簡易かつ効果的に再現するための枠組みを提案する.また,津波による防波堤背後の越流洗掘過程を対象に水理模型実験および数値シミュレーションを実施し,結果の比較を通して提案モデルの妥当性を検討する.
  • 五十里 洋行, 後藤 仁志, 松島 良太郎, 丹羽 元樹
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_157-I_162
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     粒子法の弾塑性計算には流体計算と同様の半陰解法アルゴリズムの適用が困難であるので,半陰解法で効果的なノイズ除去が実証されている高精度化スキームの大半が適用できない.現在のところ,粒子法の弾塑性計算では,このような高精度化スキームで実施されている直接的な方法でのノイズ低減手法は存在しない.MLS(Moving Least Square)は,近傍の粒子の物理量がTaylor級数で表されるとの仮定に基づき,すべての近傍粒子に関して重み付きで足し合わせた式から逆算して物理量を推定する手法である.本研究では,従来手法で得られる応力場を適宜MLSで補正してノイズを低減し,弾塑性体としたマウンド・地盤の変形を解く手法を採用する.二種類の基礎的計算を通じて本手法の有効性を検証し,ケーソン防波堤の津波越流洗掘解析を実施する.
  • 沓澤 佑樹, Nguyen Xuan TINH, 渡辺 一也, 田中 仁
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_163-I_168
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     通常,津波の数値計算には浅水流方程式が用いられる.このため,津波に伴う流速場の鉛直方向の分布について議論することは出来ない.速度分布は底面せん断力と結びついており,精緻な地形変化予測のためにも,津波の下での底面境界層に関する検討が求められる.ここでは,東日本大震災津波を対象として,乱流モデルを用いた津波伝播の断面二次元計算を実施した.数値計算においては,通常の定常流抵抗則を用いた計算も行い,旧来の手法との比較も行った.その結果,流速分布の形状は定常開水路流れのものとは大きく異なっており,通常の波動境界層のそれに類似したものであった.そして底面せん断力の計算結果は,主に押し波時において境界層内の流速分布を加味した計算結果に比べ定常流抵抗則を用いた計算結果は小さい値を示した.
  • 梶川 勇樹, 松田 信彦, 武田 将英, 江口 三希子, 西山 大和, 黒岩 正光
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_169-I_174
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     従来より,著者らは,一般的な実験水路において多様な津波波形を再現するため,電動式スルースゲートを用いた新たな津波造波装置の開発を進めてきた.同時に,1次元数値計算モデルを使用した効率的な造波制御データの作成手法についても検討を進めてきた.しかしながら,従来の数値モデルは分散第2波以降の波形の再現性が悪く,複雑な津波波形の造波制御にまで至っていない.そこで本研究では,本数値モデルによる段波津波の計算精度向上を目的とし,小型水路および大型水路実験を対象にモデルの改良を行った.小型水路実験では,分散項の検討および分散第1波波高の人為増幅・砕波減衰過程の修正,大型水路実験ではゲート流出流量の補正式を導入することで,良好に実験結果を再現できることを示した.
  • 佐藤 兼太, 越村 俊一
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_175-I_180
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     津波の発生から市街地氾濫までの統一的なシミュレーションを効率的に実行するためには,要求される計算精度に応じて,2Dモデルと3Dモデルを適宜選択することが可能な2D-3Dハイブリッド・シミュレーション手法が必要となる.この点で,格子ボルツマン法(以下,LBM)が注目されているが,津波解析を実行する上で要求される計算精度が十分に満足されていないことや,2D-3Dハイブリッド接続を行う上で重要な,LBMによる3D自由表面流れモデルの弱圧縮性について,十分に検証が行われていないことが問題となっている.
     そこで,本研究ではMRT-LBMの弱圧縮に関する数値的検証を実施し,その弱圧縮を考慮した新たな2D-3Dハイブリッド・シミュレーション手法を構築した.ゲート急開流れによる検証を通じて,本提案手法により大規模領域における3D津波シミュレーションを高精度かつ効率的に行うことが可能であることを明らかにした.
  • 髙橋 研也, 西畑 剛, Duc Thang CHU
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_181-I_186
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     地下管路内において気液二相流となる津波を対象とした水理模型実験の数値計算による再現をOpenFOAMにより実施し,水理模型実験結果と比較することによりOpenFOAMの適用性や気相の影響などについて検証した.その結果,管路や気相を計算対象とする場合のOpenFOAMの優位性が確認されるとともに,管内の初期状態が流れや圧力分布に影響を与えていることが分かった.また,管路出口水位や浸水深のみならず,管内空気塊が排出される様子やその気相速度もよく再現されたが,エアハンマー現象に伴う大きな圧力変動までは再現されなかった.津波来襲時の溢水現象を再現するためには地下管路内における気液二相流を考慮する必要があることが分かったが,再現精度をより向上させるためには圧縮性流体の計算をするなどの方法が考えられる.
  • 福井 信気, 森 信人, Katsuichiro GODA
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_187-I_192
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     近年行われている1m以下の超高解像度の地形データを用いた計算では,建物の影響を直接考慮することができるが,コストや計算負荷の観点から依然として中解像度の計算は用いられている.中解像度の計算では既往の災害に合わせ,土地利用に応じた粗度係数が用いられているが,家屋や建物が複雑に配置されている都市部では計算精度は不十分である.本研究では,津波ハザードの評価に不可欠な津波遡上計算を効率的かつ高精度に行うために,高解像度の土地地形データを中解像度にアップスケールする手法として建物抗力モデルを提案し,2011年東北地震津波を用いて検証を行った.最大浸水深や浸水範囲においては,既往のモデルとの差異が見られなかった.しかし,建物抗力モデルが既往のモデルよりも建物の所在(特に沿岸部の建物群)に応じて大きな抵抗力を与え,運動量フラックスが2倍程度減少することが明らかになった.
  • 山本 吉道, 早川 眞粹, S Masihullah AHMADI
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_193-I_198
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     巨大津波に対する減災計画検討のために,津波浸水の予想数値モデルの性能は相当に向上してきたが,その検討時に注意しなくてはいけない課題がある.大領域での浸水予測のために計算格子間隔を大きくした場合,浸水防止壁となる盛土状道路にある横断トンネルや陸閘からの浸水を考慮できない.また,海岸からの浸水のみに注意して,河川を逆流して浸水する危険性を軽視する場合が散見される.それゆえ,本研究では,大津波来襲の可能性があり,かつ,河川からの浸水が無視できない海岸を対象に津波浸水予測計算を行い,これらの課題について検討する.さらに,津波による海岸堤防陸側の洗堀と命山の耐久性を評価するために,洗堀の水理模型実験から適切な掃流砂量係数を求め,洗堀の予測計算法についても改良を試みる.
  • 楠原 嘉, 柿沼 太郎, 木村 晃彦
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_199-I_204
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     河川を遡上する津波の基礎的な特性を把握することを目的として,3次元数値解析を行なった.河川幅が狭い場合ほど,津波高さが大きくなった.そして,河川幅が狭く,ソリトン分裂が生じる場合,上流ほど津波高さが大きくなった.他方,河川幅が広く,ソリトン分裂が発生しない場合には,河川幅に依存して現れる津波高さのピークの位置より上流で,津波が伝播するにつれて,津波高さが徐々に低減した.また,複断面を有する河川を津波が遡上する場合,横断方向で位相速度に分布が生じ,高水敷上で,波向きが河道に対して斜め方向となった.上流ほど河川幅が狭い河川を津波が遡上する場合には,河川幅の収縮と,ソリトン分裂の両者の効果により,津波の伝播に伴い波高が増大した.
  • 大石 裕介, 古村 孝志, 今村 文彦, 山下 啓, 菅原 大助
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_205-I_210
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     隣接する東京湾,相模湾,駿河湾の3湾の湾水振動について,その相互作用も含めて詳しく検討した.想定される南海トラフ巨大地震において,南海域に大すべり域を持つ震源モデルでは,3湾で連動する湾水振動が見られ周期76分成分が卓越し,東海や東南海域に大すべり域を持つモデルでは,駿河湾と東京湾での2湾連動が見られ68分成分が卓越することがわかった.東京湾内に位置する京浜運河では,運河の固有周期に近い成分が東京湾全体で卓越する場合に,特に津波が大きくなる傾向が見られた.また,3湾連動モードが起きた際に運河内での津波継続が長期化する傾向がみられた.東京湾内にある運河の津波増幅率や振動継続時間の評価では,東京湾に加えて隣接する3湾での津波振動の相互作用の考慮が有効である.
  • 橋本 潔, 鈴木 善友, 田中 仁
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_211-I_216
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
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     宮城県の仙台湾沿岸には,貞山運河,東名運河,北上運河が,阿武隈川から旧北上川まで約49 kmに亘り日本一の運河群として,今なお存在し続けている. この運河群は,東日本大震災の津波に対して一定の津波減災効果があったことが明らかになっている.また,運河が存在する阿武隈川から北側の方が運河のない南側よりも,海岸堤防の破堤箇所の数は少なく被害規模も小さかったことがわかっている.
     そこで,運河が存在しない阿武隈川以南の亘理町及び山元町における亘理海岸及び山元海岸沿いに多重防御を担う施設として運河新設の可能性を,平面二次元津波解析により津波到達時間等の減衰効果ならびに最大浸水深と最大流速の平面分布等から評価した結果,運河新設は一定の津波減災効果を発揮し,津波対策における多重防御システムを整備する上で有効であることが明らかになった.
  • 小野 秀平, 平石 哲也, 東 良慶, 半田 英明, 伊藤 忠男
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_217-I_222
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     地震によって発生した津波による被害は港湾域や沿岸域のみならず,津波が河川を遡上することによって内陸深くまで浸水被害が及ぶことがある.津波の河川遡上を防ぐためには本来高潮防災用として作られた河口部の水門を閉鎖することが有効である.しかし,津波の波力が大きい場合には水門そのものが被害を受けて浸水を許したり,開閉機能をなくす恐れがある.そこで,津波の力を減勢させるために常時は海底に倒伏している流起式可動防波堤の活用を提案する.ここでは,老朽化のために予想される津波作用波力に対して安定性が保持できないバイザーゲート型河口水門を対象に流起式可動防波堤による津波減勢効果を1/33縮尺の模型実験で検討した.その結果,防波堤から水門までの距離が大きいほど減勢効果が高くなること等を明らかにし,実験結果を近似する実験式を提案できた.
  • 三戸部 佑太, 阿部 こゆき
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_223-I_228
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     2011年に発生した東北地方太平洋沖地震津波による海岸堤防の主な被災要因として知られる堤防裏法尻の洗掘について,その津波減勢効果に着目し,先行実験に基づくモデル化を行うとともに,これを組み込んだ数値計算によりその減災効果について検討した.堤防高さにより正規化した洗掘幅は同じく堤防高さにより正規化した越流水深に応じて変化し,複数の異なる条件の実験結果について1つの曲線により良好に近似できる.洗掘幅の時間発展についても移動床実験結果に基づいてモデル化し,得られた洗掘幅に対し,洗掘深の洗掘幅に対する比率を与えることで洗掘深の計算を行う方法を提案した.また,洗掘深とエネルギー減衰率の関係も定式化することで,平面的な津波数値計算にその影響を取り入れ,数値実験によりその減災効果について検討を行った.
  • 五十嵐 善哉, 座波 健仁, 田中 規夫, 佐藤 創, 鳥田 宏行
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_229-I_234
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     防潮林は,津波に対して流体力低減や浮遊物捕捉などの効果を持つ.その一方で,樹木が破壊され流木化し家屋への被害を増長するリスクも有する.樹木が流木化せずその場にとどまる転倒破壊であれば,津波に対する抗力低減効果と捕捉効果は期待できる.樹木の胸高直径が太ければ破壊されにくくなるが,生育のためには定期的に密度を小さくする必要があり,間伐が行われる.本研究は,樹木破壊を高精度に取り入れたモデルを使用し,北海道のクロマツ間伐条件で生育した防潮林のデータにより,津波減勢効果と樹木破壊状況を評価することを目的とした.樹木破壊の観点では,間伐により樹木を十分に育てて胸高直径,枝下高を大きくした方が良いが,津波減勢の観点では,樹林帯の厚みが大きくなるように,ある程度密度があり,枝下が高くない条件が最もよい.
  • 林 晃大, 山下 啓, 今村 文彦
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_235-I_240
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,沿岸平野部における海岸林の分布,地形諸条件,津波の水理諸元を考慮した,個々の建物の津波被災状況を定量評価する手法を提案した.定量評価手法の構築に際して,仙台平野域の宮城県5市町における,東日本大震災時の実被害データを用いた.対象地域では,おおよそ海岸林の林帯幅に応じて,構造種別毎の被災区分の軽減傾向を確認した.さらに,実被害データと津波数値解析より,海岸林の存在,建物立地点における津波外力,各建物の立地・地形勾配,津波外力の減衰率を表現する無次元変数を用いた定量評価式を構築し,その統計的妥当性を確認した.本手法により,評価対象とする建物構造や,海岸林の林帯幅,標高,津波水理諸元を求めることにより,他地域でも個々の建物被災程度を定量的に推定することが可能となる.
  • 織田 幸伸, 小俣 哲平, 羽角 華奈子, 坂下 克之
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_241-I_246
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     津波に対する安全性評価では,波圧だけでなく,それによって構造物に生じる変形を評価する必要がある.一般に津波波圧は,津波衝突時の段波波圧とその後に続く重複波圧に分けて考えられるが,段波波圧の作用時間は短いため,動的応答を考えた場合,波圧に対する変形は重複波圧に対し相対的に小さくなると考えられる.本研究では,大規模津波を対象に鉛直構造物の応答特性について水理実験を実施し,その結果から,段波波圧が重複波圧より大きい場合でも,変形(ひずみ)は重複波領域の方が大きくなること,ただし砕波を伴う場合には段波領域で最大ひずみが発生する場合があることなどを明らかとした.また,模型実験では構造物の物性を完全に再現することが困難なため,数値解析の適用性について検討し,精度向上には適切な減衰効果を反映する必要があることなどを示した.
  • 今井 健太郎, 中井 健太郎, 野田 利弘, 新井 伸夫, 岩間 俊二, 馬場 俊孝
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_247-I_252
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,愛知県の巨大産業を支えるサプライチェーンを擁する地域のひとつである碧南市を対象として,南海トラフ巨大地震による地震動に対する堤体基礎の沈下量を数値解析によって評価した.この解析結果を津波氾濫解析に組み込むことで,堤体基礎の脆弱性が氾濫過程や浸水域に与える影響について検討を行った.堤体基礎の沈下や直立堤の崩壊を考慮することにより津波浸水域は大きく拡大することを定量的に示すことができた.このことは,沿岸構造物の耐震化の重要性を示していることはもちろんのこと,強震動による海岸・河岸構造物や堤体基礎部の脆弱性が津波ハザード評価に与える影響を無視できないことを示している.
  • 遠藤 次郎, 磯﨑 由行, 大村 智宏, 小林 学, 古市 尚基, 杉松 宏一
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_253-I_258
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     桟橋構造は地震・津波に対する防災・減災対策として有効な構造形式であるが,施設設計に必要な性能照査手法の確立が課題である.本研究では,3次元数値モデルを用いて既往水理模型実験の再現計算を行い,数値計算の適用性について検討するとともに,実験で課題となっていた水平作用力の定式化を試みた.
     計算結果は実験結果を概ね再現しており,津波波圧・波力算定において数値計算が適用可能であることを示した.また,計算により上部工に作用する波圧分布を詳細に把握した上で,水深,流速および構造諸元を用いて水平作用力を定式化し,計測値との関係性により妥当性を示した.また,実用的には抗力係数を一定値とみなして算定できることを示した.
  • 長山 昭夫, 田中 友崇, 坂口 凌雅, 末吉 遼大, 浅野 敏之
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_259-I_264
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     遡上津波による構造物への作用波圧推定は静水圧近似を想定した手法が津波避難ビルの設計指針等に採用され一定の成果を挙げている.しかしながら,これらは単一構造物壁面を対象に検討されたものであり,構造物が規則的に配置された場合での波圧についての検討はなされていない.また近年,3次元流体解析により複数配置された条件下での構造物への作用波圧の検討が実施され,その特性が明らかにされつつある.そこで本研究は規則的に配置された円柱群を対象とし設置間隔と作用波圧,比エネルギーの関係について模型実験と数値実験により検討を行った.その結果,格子配置された円柱群における円柱側面への波圧変動特性は格子間隔に影響を受けることがわかった.
  • 松冨 英夫, 岡田 隼人, 久保田 友寛, 今野 史子
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_265-I_270
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     津波荷重評価の高度化を目指して,土砂水と清水を用いた水理実験に基づき,RC造建築物に作用する津波荷重(水平力と鉛直力)の氾濫水密度への依存を検討している.土砂水による実験と両水による実験結果の比較・検討法が限られているが,RC造建築物に作用する津波荷重が氾濫水密度に依存することを実証し,建築物前面浸水深や前面浸水深係数(前面浸水深/入射氾濫水深)が同じ場合,水平力は土砂水によるものが清水によるものより顕著に大きく,氾濫水密度が大きい程大きいこと,鉛直力は建築物周りの土砂堆積の影響を受け,清水によるものが土砂水によるものより大きくなり得ることを明らかにしている.
  • 森岡 純平, 下園 武範, 門 安曇, 不動 雅之, 田島 芳満
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_271-I_276
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     東日本大震災以降,沿岸防災において津波越流に伴う防波堤作用波力の評価は重要とされているが,既往研究の多くは定常流断面水路における検討に留まっており,構造上の弱点となる隅角部や堤頭部を対象にした研究は少ない.本研究では平面段波水槽を用いた水理模型実験を実施し,段波による非定常な越流状態において防波堤各部に作用する津波波圧の特性を調べた.その結果,防波堤に作用する最大波力は防波堤前面での水位が最高となる時間帯に生じ,最大波力は直線部(堤幹部)に比べて隅角部で大きく,堤頭部では小さくなることが確認された.また,最大波力作用時には防波堤前面の圧力は鉛直流体加速度の影響を受けて水位から静水圧分布を仮定して求まる値よりも小さくなっており,この効果は特に直線部や堤頭部直入射の場合に顕著になることが示された.
  • 池谷 毅, 大塚 貴駿, 稲津 大祐, 岡安 章夫
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_277-I_282
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     橋脚の存在が橋梁上部工に作用する津波力に与える影響を明らかにすることを目的として,水理模型実験および数値解析を実施した.水理模型実験では,ゲート急開法により発生させた段波を模擬津波として用いた.浸水深および橋脚による阻害率をパラメータとして変化させ,橋脚周辺の津波変形および上部工に作用する津波力を計測した.数値解析では,橋脚をポーラスメディアとしてモデル化して,VOF法により津波変形実験を再現した.検討の結果,阻害率が大きくなるにつれて,最大浸水深が増大すること,橋梁上部工に作用する鉛直力も増大することが明らかになった.特に,浸水深が大きい場合は,橋脚から発生する反射波の影響等で,上部工に作用する鉛直力が浮力よりも大きくなることがわかった.
  • 大村 智宏, 小林 学, 古市 尚基, 杉松 宏一, 遠藤 次郎
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_283-I_288
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     大規模な地震・津波に対する防災・減災対策として杭式桟橋の採用は有効と言える.しかし桟橋の耐津波安定性は十分に解明されていない.本研究では直杭式横桟橋を対象に押し波を与えた水路実験を行い,桟橋の上部工及び円柱杭に作用する波圧・波力特性について検討した.実験結果から桟橋の最大鉛直力発生時及び桟橋前面水位最大時の各波圧について静水圧と比較して水理特性を明らかにすると共に,桟橋前面水位最大時の揚力係数・抗力係数を示した.また津波先端が桟橋に作用した際に生じる衝撃波圧は桟橋前面の入射波高を用いることにより谷本式が適用できる結果となった.さらに津波衝突直後に発生する最大鉛直力に上限があることや,水平力と比較して鉛直力が卓越することを確認した.
  • 大井 邦昭, 八木 宏, 多田 毅, 鴫原 良典, 林 建二郎
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_289-I_294
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     水理模型実験を実施し,津波による越流が生じる防波堤の港内側マウンド被覆ブロックの被災メカニズムと安定性能を調べた.被災パターンは,ブロック群全体の滑動,ブロック単独の転倒,浮き上りのほか,被覆ブロックは安定であるものの捨石マウンドが崩壊する場合もあることを確認した.これら被災パターンのうち,マウンド法肩のブロック単独の転倒による被災に着目し,ブロックに作用する流体力とモーメントの分力計を用いた直接計測とブロック周辺の流況計測を行ない,越流水深に対する定量的な変化特性を調べた.ブロックの転倒は,転倒の起動力となる転倒モーメントがブロック水中自重による抵抗モーメントを超過すると生じ,それは越流水脈が対象ブロックの下流端付近以深に衝突する場合に生じることがわかった.
  • 三井 順, 久保田 真一, 松本 朗
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_295-I_300
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/10
    ジャーナル 認証あり
     港内側のマウンド天端が干出する防波堤における津波越流時の被覆ブロックの安定性を検討した.水理模型実験の結果,主たる被災形態はマウンド斜面に沿う速い流れによるブロック全体の滑動であり,法尻部に大きな質量のブロックを設置して滑動を抑えることが効果的であることがわかった.また,浸透流によりブロックの安定性が低下することも確認された.数値解析の結果,港内側の静水面上の広範囲のブロックには大きな流体力が作用するが,水面下のブロックに作用する流体力は小さいことがわかった.そのため,港内側の水面の高さが安定性に大きく影響する.さらに,数値解析により求めた流体力を用いて,斜面全体の力のつり合い式により安定性の評価を試みた.
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