抄録
大気気候モデルを用いて現在気候条件6,000年,全球平均気温+4℃の将来気候条件5,400年の大規模アンサンブル気候計算の実施と,この計算結果を用いた台風と高潮偏差の長期評価を実施した.通常の気候変動予測計算と比較して,100倍以上の時間積分を行うことにより,これまで評価の難しかった数十年に一度以下の極低頻度の台風や高潮の長期評価を可能とした.風速および高潮偏差は,北半球の15-35度の緯度帯での顕著な高潮偏差の将来変化が得られ,特にアジアにおける高潮災害のホットスポットを明らかにした.さらに東京湾,大阪湾に対して高潮偏差の将来変化を評価した結果,100年確率値で+0.5m程度の将来変化が推定された.