2016 年 72 巻 2 号 p. I_1597-I_1602
津波災害による人的被害の軽減には迅速な避難が鍵となる.そのためには,想定される避難状況をできるだけ忠実に模擬し,信頼性の高いデータに基づいて避難計画を検討することが不可欠である.著者らはこれまで個別要素法型の群集避難シミュレータを用いて避難計画を検討してきたが,2次元平面上での計算であったため計算領域の高さ情報については考慮していなかった.階層構造物からの避難は,避難計画の際に重要な意味を持つことから,本研究では写真測量データから得られた高さ情報を考慮した津波災害シミュレーションを実施した.高さ情報の多寡が群集避難過程に与える影響について,避難過程を検討した結果,避難完了時間の違いは僅かであるが,避難状況は大きく異なることが明らかになった.