2016 年 72 巻 2 号 p. I_277-I_282
南海トラフ巨大地震津波への対策の一つとして,浄水場への塩水の流入を防ぐため,河川遡上津波に伴う塩水の滞留時間や分布を予測することが挙げられる.塩水挙動解析には鉛直方向の流体の密度差を考慮できる三次元解析を行う必要がある.本研究では淀川大堰周辺域を対象に,波源からの平面二次元解析,その結果を境界条件とした淀川大堰周辺域のみの三次元解析,平面二次元・三次元ハイブリッドモデルによる波源からの切れ目のない解析を実施し,平面二次元解析結果を基準として解析結果を比較した.その結果,ハイブリッド解析による水位および流速は平面二次元解析結果と概ね一致し,塩分の鉛直方向の分布も解析できたことから,淀川大堰周辺域における津波来襲時の塩水挙動解析に平面二次元・三次元ハイブリッドモデルを適用できることが確認できた.