2016 年 72 巻 2 号 p. I_355-I_360
GEONETの地殻変動データに基づく即時推定断層モデル(以下,GNSSモデル)の津波波源モデルとしての適用性を,2011年東北地方太平洋沖地震津波の痕跡値との比較により検証した.GNSSモデルは太平洋沿岸の広域にわたる沿岸津波高を概ね再現しうるが,三陸沿岸で観測された非常に高い津波の再現性に課題が残ると分かった.津波浸水規模に関しては,平野部として石巻湾に面した市街地を対象とする場合,GNSSモデルが一定程度の再現性を持つと分かった.また,南海トラフのように走向・傾斜の構造が複雑なプレート境界において,巨大地震による初期水位変動の推定に有用だと考えられるすべり分布モデルを,1,200程度の矩形要素で近似的に表現することで複雑な初期水位変動を即時解析する手法を提案した.