抄録
本研究では,海洋短波レーダにより観測された表層流速,および海底に設置されたADCPにより観測された流速鉛直分布の異なる2種のデータを4次元変分データ同化法により3次元流動水質モデルに同化し,その影響を評価した.観測領域の重なる近傍点においても両データの相関は低く,異なる値を示していたが,4次元変分法を用いることで,両データを統合した連続場を作成することが可能となった.
海洋短波レーダによる表層流速の同化では,中層から底層の再現性が悪くなる傾向があったが,ADCPによる流速鉛直分布と共に同化することで,この問題を抑制することができた.また,流動構造の変化は,水質モデルにも影響を及ぼし,底層DOの再現分布を変化させた.このことから水質場の再現・予測に対する,複数データを同化した再解析データの有用性が示唆された.